その19「そして出会っちゃった話」 ページ37
「…………」
「あ、初めまして。女優のルカっていいます!」
いつものように僕らのコンサート練習に差し入れを持ってきてくれたAちゃん。
しかし、今日は特別ゲストがいた。
マコト君の方がギターに興味があり、コンサート練習の合間なら見てあげてもいいよと伝えるとルカちゃんも付いてきたのだ。
「剛さん、ここなんですけど…」
「え?あー、うん。ちょおまってな」
声をかけてきたマコト君に断りを入れて僕はAちゃんの元へ。
「来てくれてありがとぉね。光一今バンドメンバーと飯行ってんねん。もうすぐ戻ってくると思うわ」
そう声をかけるとすかさずルカちゃんが入ってきた。
「あ!もしかして奥様ですか?全然気付かなかった!関係者のネーム付けてたからスタッフの方かと思いました笑 すみません」
「……いえ…気にしてないですよ
剛くん、皆に差し入れ買ってきた。ドーナツやから常温でも平気やと思うけど暑いから早いうちに食べてね」
「うん。ありがとぉ。僕先食べちゃおうかな。
あ…ルカちゃんとマコト君も食べてええ?」
「多めに買ってるから多分平気。光ちゃんの残さなくてええから」
「え!なら、私大丈夫です!光一さんが食べれないなんて可哀想ですもん!」
「光ちゃんの分は…」
「こんなに暑い中コンサートの練習してるのに奥さんからの差し入れ食べれないなんて絶対可哀想」
「ちょ、ルカちゃん…」
「だから、私はいいので光一さんに…」
ルカちゃんがそこまで言ったところで防音室のドアが開いた。
「あれ、A来てたん?
お、ルカちゃんもおるやん。マコト君に着いてきたん?」
「光一さん!はい!ついてきちゃいました笑
あ、これ奥さんから差し入れですって!私も頂いたんですけど光一さんの分がなくなるとのことだったんで遠慮しました!どれにします?私取りますよ!」
ルカちゃんはAちゃんからの差し入れのドーナツをさも自分が差し入れしたかのように光一の元へ持っていく。
「あー、俺ええわ」
「え?遠慮しないでください!」
「いや、俺甘いの好きじゃないねん」
「甘いの好きじゃないのに奥さんはドーナツを…?」
なんか……ルカちゃんええ子やと思ってたのになぁ。
今日はちょっと聞いてられへんで。
「ルカちゃ…」
「Aはいつも俺のだけ手作りしてくれんねん」
「……はい?」
98人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茶(プロフ) - 結城綾さん» 大変遅くなりました!剛くんは次回作できっと幸せになれると思いますのでぜひ新作もよろしくお願いします。 (2023年2月4日 12時) (レス) id: 75867b41bb (このIDを非表示/違反報告)
結城綾(プロフ) - 初めまして、いつも楽しみに読ませていただいてます、剛くん視点で時々切ないヒロインちゃんへの恋心が垣間見えるのがキュンとします、これからも無理ないペースで書いてください、楽しみにしております (2022年10月24日 21時) (レス) @page41 id: c0d3918841 (このIDを非表示/違反報告)
トット(プロフ) - 千香さん» いつもコメントありがとうございます(^^) リアリティを意識して書いてます!笑 感じていただけたなら幸いです(T_T) (2022年9月26日 21時) (レス) id: 0b050a84a6 (このIDを非表示/違反報告)
千香 - 本当に面白いです!なんだか実話にありそうで(笑)剛さん視点なのも良いです!これからも楽しみにしています! (2022年9月26日 19時) (レス) @page26 id: c728a92b9a (このIDを非表示/違反報告)
トット(プロフ) - natsuさん» コメントありがとうございます(^^)natsuさんの楽しみをこれからも作れるように頑張ります! (2022年9月26日 13時) (レス) id: 0b050a84a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茶 x他1人 | 作成日時:2022年9月18日 2時