つよしのネタ帳~光一夫妻のちょっと変わった日常~

その1 ｢プロポーズの話｣ ページ2

光一はAちゃんと付き合った瞬間から直感的に結婚するのはこの人だと感じ取ったらしい。



それでも、交際は最短で3年という彼は保険をかけて3年間は交際をしたそうだ。



そして、3年目のその日。出不精の光一は先輩の東山さんに聞きながらいいホテルレストランを予約して指輪も揃えて下手くそながらも言葉を考えていざプロポーズなるものをしたらしい。




｢結婚、しませんか｣



｢私、明後日にはウィーンに行くから結婚なんて出来ないよ｣




そこからはもう…ね。
呆れてしまいますよ。
2人は大喧嘩。



｢ウィーン行こうがなんだろうが籍は入れられるやろ！｣


｢籍入れたら書類提出とかいっぱいあるやん！！てか、そんなん集中出来ひんわ！籍なんか入れない！｣



そんな言い合いをいいホテルレストランで約3時間して

結局仲直りすることなくAちゃんはウィーンへ旅立ったそう。



仲直りしぃやと僕からの言っても頑固な光一は知らんの一点張り。その割にはちょこちょこ連絡入れてんの見えてますよ。



しかし、音信不通になって3週間。
光一は結婚の未来が見えていたけどこれだときっと自然消滅ってやつになるんだろうと覚悟を決めた時だった。




Aちゃんから電話が来たそうだ。




《指輪、受け取り忘れたから明日帰る》



｢はぁ？籍入れないんやろ｣



《入れへんよ。でも、いつかは入れるで。せやから今回のは婚約指輪にしよう》





そんな電話があったと話す光一は溶けそうなくらいに顔がデロデロだった。





僕には理解が出来ないけど2人が籍を入れたんはそれから7年後。
ウィーン中心での活動に幕を閉じ、これからは日本を中心に活動すると公表した彼女は7年後に帰ってきた。


彼らは7年間も遠距離恋愛をしたらしい。僕には絶対出来へん。でも、光一はAちゃんと結婚するという気持ちが固かった。だから、続いたのかもしれん。




2度目のプロポーズは1度目のトラウマからか方向性を変えたらしい。



風呂あがり、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り、1口飲む。
目線の先には五線譜と戦う恋人のAちゃん。




｢なぁ……


俺ら、籍入れよか｣




そんなシンプルなプロポーズにAちゃんは五線譜から目を離すことなく




｢あ、うん〜｣




と、返事をしたそう。



次の日、2人はそれぞれインスタなりブログなりで結婚を報告した。

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