Jukebox (ページ6)

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好きでいてくれるなら何でも演じるよと彼は言った

彼の部屋、ベッドの中、背を向けてスマホをいじっている私の後ろから
にゅっとテヒョンの腕が伸びてくる。
おなかをぐ、と支えられて彼の方に引き寄せられた身体。
傷んだ金髪が首筋に触れた。

「テヒョン」
「…ん？」
「くすぐったい」
「えー？」

くすくす笑う声が耳元で聞こえる。
笑われると余計に髪が擦れてくすぐったいんですけど。

携帯をサイドテーブルに置いて、彼のほうに向きなおった。
締め切られたカーテンから漏れる光が
彼のふわふわの金髪にあたってちょっと眩しい。

寝起きのテヒョンは、まだ目がとろんとしている。

「おはよ」
「おはよ、ぐっすり寝てたね」
「うん…Aの夢みた」
「そうなの？どんな夢？」
「んー…どんなだっけ…」

なんで覚えてないのーってちょっと拗ねた声で
ぷく、って頬を膨らませて上目遣い。
あざとい女の子が君は好きでしょ？

「その顔、かわいい」
「えへ」
「なんか、今日Aかわいいね」
「私はいつもかわいいですー」
「それはそう、なんだけど、んー…」
「…？」
「なんかね、幼い。子供みたい」
「ふーん…よくわかんない」

そりゃね、君がそういう子好きって言ってたからね。

「ね、テヒョン」
「ん…？」
「目、つぶって」
「んー？」
「お願い」

ゆっくり瞼が落ちる。
まつ毛長いな、くそう。

閉じたテヒョンの目の上に私の両手を重ねてみる。
手のひらに瞼が震える感覚。
彼の視界はきっと真っ暗だ。
君の夢の中での私は、どんな風だったのかな。

「ねーA。何してるの」
「なんでもないよ」

朝なのに夜みたいに暗いよ、ってニヒニヒしてる口元にそっと自分の唇を重ねる。
最初は、ちゅ、ってはじめてみたいに。

ちょっと間をおいて、もう一回。
テヒョンはすっかり静かになった。
目隠しをしたまま身体の上に馬乗りになって、三回目、四回目のキスを落としてみる。

五回目、テヒョンの唇が少し開いた。

両手を彼の目から離して至近距離で見つめ合う。

「いいとこだったのに、やめちゃうの」
「んふ、意地悪、してみたの」

目を見つめたまま、口元は少し無邪気に。
こういう駆け引きも、君は好きだよね。

「…かわいい」

眠そうだった目に艶やかな光が灯るのをみて口角が上がる。
下から抱きしめられて、体制が逆転する間に、びっくりした顔を作らなきゃ。

「テヒョン…？」
「A、好き」
「…ん」

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