動物園デート!/zz ページ4
「ねーAちゃん、動物園行こうよ」
「暑いじゃん。やだ」
何回このデートの誘いを断っているのだろう。それに懲りない彼も彼だ。
流石に理由も聞かないで断り続けるのも可哀想だからそれくらいは聞いてあげよう。
「どうして動物園に行きたいの」
「Aちゃん最近外に出てないでしょ、だから!」
「動物園デートですか」
一応弁解しておくが私はニートではない。休日に外に全く出ないのだ。
全く出歩かない人間が動物園なんかに半日いたら倒れてしまうんじゃないかな。
いや、30分で倒れる方に10円賭けよう。
「私と一緒がいいならゲームでいいじゃん」
「ゲームもいいけどさ、たまには2人で出かけたいんだよ」
「仕方ないなあ。デート代、全部そっち持ちね」
やった!と用意をいそいそと始める彼氏に聞く。
「キャラ付け意識してる?ズズさん」
「してない!…とは言い切れない」
何とか動物園までたどり着いた。夏休み最初の土日なだけあって家族連れが多い。
暑い。入る前から脱水を引き起こしそうだ。
「無理しない程度に見て回ろうな」
「今の時点で倒れそうなんだけど」
いつものスポーツ飲料を片手に持ち、いざ園内へ。
「いや〜楽しかった」
「あれだけやだやだ言ってたのにすげー楽しんでやがった」
「たまに行くのも悪くないね」
両手にお土産を沢山抱え、周りを歩く子どもと同じ様に今日楽しかった事を早口でまくし立てる。
ずっと隣で体調確認してくれてたけどね。
「でさ〜ペンギンの場所あったでしょ。あれさ……」
急に足元がおぼつかなくなり、思わず彼の方によろめく。
「おっ、と。大丈夫?」
「大丈夫なように見える?」
「おぶろうか?」
その提案を素直に受け入れ、彼の背中に全て預ける。
今度は彼が一方的に話す番だ。
「…でさ、それであいつが……で――」
「うん。そんなことが…」
まずい、意識が限界を迎えたみたいだ。
Aちゃんを背負って歩き始めて数分。後ろから規則的な寝息が聞こえる。
「……寝るまで頑張らなくていいのにな」
ああやって色々言いながらも付き合ってくれる所が好きなんだよなあ。
……本人には言わないけれど。
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