つぎこそ/bkyk ページ14
私には秘密があります。正しくは私の秘密、ではなく彼氏の秘密なのですが。
「A〜、愛してる。好きだよ。ベッドいこ?」
「私も。最後のはだめです」
「え〜」
酔うとものすごく素直になる。
普段は面と向かって愛の言葉を囁いたりしないし、手を繋ぐのも恥ずかしがる彼が!めっちゃ甘えてくる!かわいい!
でもね、悲しいことに酔いが覚めると全く覚えてないらしい。次の日に「俺、昨日変な事言わなかった!?」なんて言う。
だから、呑んでる時はついつい遊んじゃうんだよね……
「ぶっちゃけ自分の女装時と私、どっちがかわいいと思う?」
シラフの時なら「何それ?」とか「俺」って返ってくるんだけど
「Aに決まってるじゃん。僕の好きな人なんだもん」
はいきました。なんだこのかわいい生き物は。
「ね〜A、ぎゅっていい?」
「いいよ」
「A好き。結婚しよ?」
「……うん」
このプロポーズ、実は酒に酔う度されてる。酔ってない時に聞きたいんだけどなぁ。
「うそだと思ってるでしょ」
「ん……まあね」
「ひどーい。これを見てもそう思うの?」
そう言うと、彼は仕事用のかばんをあさり始めた。何やら取り出すと、くるり、と背中を向けごそごそ始める。
その姿がまるで小さな子供のようで、自然と笑みがこぼれた。
やっとこちらを向いたと思うと、見たこともないような真剣な顔をしている。
「え、何……?」
そして、意を決したように私の前に跪き、一言。
「僕と結婚してください!!」
私に向かって差し出された手には、リングケース。突然のことに心臓が一瞬キュッと縮み、すぐにどくどく、と波打ち始めた。
「……はい」
「ほんと?やったー!」
強ばっていた彼の顔がほころぶ。その顔が、涙でぼやけた。
「嘘でしょ!?そんなこと言ったの俺……」
次の日、起きてきた彼は私の左手を見て崩れ落ちた。
「ムードもへったくれのないプロポーズになっちゃって、ごめん」
「私はプロポーズされただけで幸せだよ」
「いや、俺が悔しいの。夜景の見えるレストランでAにプロポーズするの、夢だったからさ」
「そうなんだ……じゃあ」
私は指輪を外し、彼に手渡した。
「昨日は飲みすぎちゃって記憶がないなー」
「……A?」
「そうだ!今度美味しいご飯食べに行かない?連れてってよ」
「……わかった!」
彼は嬉しそうに微笑んだ。ああ、すきだなぁ……
「飲み物はソフトドリンクね」
「えー」
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