検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:9,731 hit

お花畑の魔法-3-/nnc ページ13

気がついたら私たちは静かな森に来ていた。

真っ暗な森の外れに見つけた、小さなお花畑。



人影も、生き物の影もない、秘密の場所とでも言うような、静かな、静かな所。








静かだったけれど、二人でいるだけでどれだけ心強かったことか。


逃げきれて、ようやく二人きりになれるという安心感。



はぁ、はぁ、と二人で息を整えて、私たちは笑った。




笑って、笑って。

一体どれくらいの時間が経っただろうか。




「魔女だと、恋できないんやな」



彼が呟いた。

前から考えていたこと。この掟が憎くて憎くて仕方がなかった。





「ねぇ、ななくん。」




なら私の存在を変えれば。




「私、魔女辞めるね。」




ニコッと微笑めば、お腹の前で合わせた私の手から紫色の光がこぼれ出す。




今まで使ったことの無い魔法。


そして最後に使うことになる魔法。




両手を勢いよく上へ振り上げて離すと、宙にはたくさんの光が浮いていた。



星空色、夕焼け色、蜂蜜色、涙色、恋色、飴色。






そして、大好きな彼の若葉色。









___________

「A〜?」


彼の声を聞いて泉から湧き出すように溢れ出した記憶は魔女だった頃の記憶。



今の私は、もう魔女じゃない。



普通の人間。



普通の人間として彼を好きになれるのだ。





「な、なくん。」


涙の混じったくぐもった声で、彼を呼ぶ。






いつもと変わらない笑顔がこちらへ向けられれば






これでやっと彼に云うことが出来るのだ。


もう自分の気持ちを押し殺して森の神から隠れる必要なんてないから。



ようやくかなった夢。









___ななくんのことが好きです。







できるだけ笑顔で。



今度は人間として、人間に恋をして。







___俺も好きやで、A。








彼の瞳に映った空色の魔法は、花畑に落ちて静かに消えていった。

つぎこそ/bkyk→←お花畑の魔法-2-/nnc



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:企画 , 実況者 , 混ぜメン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:6人の作者 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月15日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。