小説家の彼女と公安の彼[安室透/降谷零]2nd

自分じゃないみたい ページ9

次の日の朝、コナン君や蘭さん達と一緒に学校へ向かうことになった。

「そういえば、Aちゃんの学校は制服ないの？」

と聞かれて、そろそろ誤魔化すのもやめよう、と思い

「私、大学生です」

って言ったら、皆して

「「「えー！！！」」」

と驚かれた。

その後、タメ語でごめんなさい、とか、ちゃん付けなんて失礼でした！とか言われたけど、もう慣れてしまったし、

なんだか、せっかく仲良くなったのに他人になるみたいで嫌だから、このままでいいと伝えると

「じゃあ、Aちゃんも、私のこと蘭でいいよ」

「私は園子ね！」

と言われ、蘭ちゃん、園子ちゃんと呼ばせてもらうことに。


そういえば、安室さんのこと、名前で呼んだことなかったな……。
もしかしたら、私は安室さんには居心地の悪い壁を作って接してしまっていたのかもしれないな、なんて思った。


途中の道でそれぞれの学校へ向かうために別れた。

「いつでも相談してね」

と言ってくれる蘭ちゃんと園子ちゃんのおかげで、だいぶ気が晴れた。



1人で歩き始めて携帯を見たら、担当の編集さんと安室さんからメールが来ていた。


担当さんからは
『今日、19時からテレビ局に行ける？
撮影を見てほしいんだって』

という内容。

ドラマの撮影なんて、めったに見れるものじゃないし、自分の文章が演じてもらえる様子を見てみたかったから

『もちろん！いきます！！』

と返しておいた。

安室さんからは

『ゆっくりどこかで一緒にご飯食べませんか？
今日は学校まで迎えに行きます』

と着ていたけど、気まずいし、
気を使わせてしまっているのが申し訳なくて

『大丈夫です。用事があるので。』

と返した。









好きなのに、連絡をくれて嬉しいのに。

一緒にいたいのに。

でもそれ以上に、そばに居たら迷惑になっちゃう、っていうのが嫌で。


突き放すようなメールになってしまったことに、また涙が出る。


女の人といるところを見ただけで、こんなにも苦しいんだね……。

次に、小説を書く時の嫉妬のシーンは上手に書けそうだな、なんて考えている自分に自嘲気味に笑ってしまう。



登校中に、泣いたり笑ったり、傍から見たら痛い女だ。

ダメだ、ダメだ。

ゴシゴシ目を拭って、頬をパシパシ叩いて、気を取り直す。



安室さんのことを考えると、自分が自分じゃないみたいだ。

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