桃色の片思い (ページ6)

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06.帰宅＞勧誘ページ6

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振り向けば、先程、彼らの後ろに立って
“次へどうぞ”とか“終了です”とか言っていた男性だった

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「貴方、シワンさんですよね」
『違います』

「だって、サイン会ではそうやって…」
『代行で来ました』

「そう言う事か
　…通りで噛み合わない訳だ」

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代行で来た事を告げれば
通りでと何故か男性は納得をしていた

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「で、貴方の名前は？」
『宇津木 Aです』

「日本人！？」

私の名前を言えば日本人なのかと驚き
だけど、私のカタコト具合を察して日本語で話をしてくれた

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「単刀直入に言わせて頂く
　貴方、私達の会社で働いてみないですか？」

『…はい？』

「要するにスカウトって奴です
　日本から遊びに来たと言う事は、貴方まだ学生でしょう？」

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『いえ、仕事で来ました』
「…何年生まれだい？」

『99』
「…マクと一緒か」

おー参った99年かだとか言いながら

手を顎元にお気ながら
何やら考えているみたいだが

私はこれっぽっちもやるとは返事をしていない

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「仕事は何をしているんだい？」

考えていたかと思えば
仕事は何をしているんだ。と

この人はプライバシーと言う言葉を知らないのか
まるで尋問のように
ずらずらと始まった質問の嵐

はぁ、と小さくため息を付き
何かあった時にと入れておいた名刺を見せる

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「君は＿＿＿＿＿＿＿
　何だ、そういう事か。それなら大丈夫だ」

『え？』

名刺を見せた途端
急に一人で理解をして、なら大丈夫と
私にとっては理解不能な回答をしていた。

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「無駄な手間を掛けてすまなかった
　さっきの事は気にしないで欲しい」

そう言って男性は私の目の前から消えた

『え、何なの…？』

私だけ置いて行かれた感じがしたが
このスカウトは不発に終わったと思っていいのだろう

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『あ～疲れた』

本当に疲れた
サイン会ってそう安易な気持ちで行ったらダメなんだなって
…まぁもう行く事ないけど

体力と気力を十分に使った私は
明日からの仕事がなんだか、憂鬱に感じていた

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『さ、早く帰って寝よ』

そんな事を想いながら
私はサイン会会場を後にしたのだった。

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