桃色の片思い (ページ36)

今日:19 hit、昨日:26 hit、合計:108,962 hit

36.車内ページ36

.

[ YOU SIDE ]

『次の信号を左で、』

とても優しいユノさん
あ、今はもうジェヒョンさんでいいのか

彼のおかげで
このとても重たい荷物を持ちながら、公共機関を使わずに済んだ

.

彼がアイドルだと言うことを鑑みて
助手席ではなく、後部座席に乗った

「助手席でいいのに、」だなんて言ったけど

今をときめくアイドルが
私なんかのせいで傷つくのは、心底嫌だ

.

ジェヒョンさんは
私の知る数少ないアイドルの一人だ

彼はどう思っているか分からないけど
少なくとも私は、彼の事は大切な先輩だと思っているし
これからもそのつもりである

.

「今日は休日？」
『うん、』

「いつもあんな大荷物で出掛けているの？」

『今日はたまたまです
　欲しいなと思ったのが沢山あった、』

「欲しい物が買えて良かったね」
『うん、』

.

ミラー越しで目が合った

ミラー越しから見えるジェヒョンさんは
とても優しい眼差しを向けてくれていた。

.

『あの、』

そんな眼差しを向けてくれたからか

それとも、私の気分か
当事者である私が分かっていないけど

『時間があるなら
　ご飯食べませんか？』

「へ？」

気付けば勝手に口がそう言っていた

.

『あ、いや、ごめんなさい
　何でも無い』

「いいの？」

『え？』

ハッと我に返り
何でも無いと言えば、彼はそう言った

.

そう言った彼を
また、ミラー越しから見ると
今度は嬉しそうな顔をしていた

.

「Aさんがいいなら
　俺、一緒にご飯食べたい」

『無理していませんか？』

.

「無理してないよ
　本当にそう思ってる」

「俺、これでも
　結構ハッキリしている性格なんだよ？」

.

ハッキリした性格だとジェヒョンさんは言うけど
今の所、私にはそう見えないんだけどなぁ

これも彼の優しさなのかな

そんな彼の優しさに

『ありがと、』

自然とそう言っていた

.