桃色の片思い (ページ31)

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31.フキゲンページ31

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-トントントン

『(また？)』

ユウタ君とマークが帰って少しして
またもドアのノック音が聞こえた

(今度は2回じゃなくて、3回のノック音)

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「、」

はいと返事をすればドア越しに居たのは
ジェヒョンさんだった

それもちょっと何故か不機嫌な顔で

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『？』
『どうぞ？』

ドアの線から一向に入る様子のないジェヒョンさんに
どうぞと言えば、ゆっくり入ってきた

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「Aさん、」
『はい？』

声は穏やかなものの
私の名前を呼ぶジェヒョンさんの顔は
しかめっ面で…ん？何でしかめっ面なの？

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“マクと友達になったの？”

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何を言うかと思えば
予想も付かない一言だった

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『え、うん
　友達になりました、さっき』

予想もつかない一言に
別に悪い事をした訳でもないのに、どもってしまった

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「…」

『…』

「…」

え、何だこの沈黙の感じ。覚えがある。

そうだ、この沈黙は
サイン会での沈黙と同じ空気だ

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そっか、ジェヒョンさんは
あの時の、私に名前を聞いてきた最後の人だったんだ

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「…そっか、それは良かった
　マクは良い子だからさ。仲良くしてあげてね」

ジェヒョンさんは、唇をクッと噛んだ後
笑顔でその言葉を発したけど

私にとっては
その言葉と顔の表情が合っていないように見えた

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『ジェヒョンさ、』

「ごめんね、仕事の邪魔しちゃって
　それだけ伝えたかっただけだから」

そう言ってジェヒョンさんは
一方的に会話をして、帰って行った

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『…何だったんだろう』

結局、私には彼が何を伝えたかったのか
理解することは出来なかった

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「はぁ、本当俺って
　Aさんにめっぽう弱すぎ、」

もちろん、そんな風に嘆きながら
部屋に戻るジェヒョンさんの事も知らずに。

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