桃色の片思い (ページ12)

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12.カタコトページ12

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「え、
　って事は俺の名前を知っているのは…」

『うん、シワン先輩がジョンウのファン』
「えぇ、何だぁ」

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彼女が唯一ジョンウの名前を知っていたが

それは、
彼女の先輩であるシワンさんの推しがジョンウだった訳で
特に深い意味は無かったみたいだ

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その事を聞いて、ジョンウは少し落ち込んでいたが
俺は逆に安堵していた

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「じゃあ、
　君の本当の名前は何て言うの？」

『宇津木 A』

「え！？日本人！？」
『うん、そうだよ』

彼女の名前を聞いて
俺の中のピースが繋がろうとしていた

ドヨンヒョンの聞いていた出身地は
律儀に、シワンさんの出身地、慶尚南道を言っていて

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このタメ語や敬語がバラバラであったり
独特の話し方であるのは

彼女が韓国人ではなく
日本人で、且つ、韓国へ来たのが浅いからだ

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「まさか日本人だったとは…」

『このカタコト具合で
　韓国人だったら、人生終わってるよ』

「あ、カタコト具合は自覚してたんだ」

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自分が想像していた
悪い答えで無い事に、思わず頬が緩む

それにこの話は
彼女と俺とジョンウだけが知っている真実

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他のメンバーより
少しだけ先に行けているような気がして嬉しかった

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静まりかえったソウルの街

気分転換にと
酒を飲もうと思っていたけど
今日はもう、飲まなくてもいいかな

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「Aちゃんは何年生まれなの？」
「ちょ、ジョンウ」

「え？何？」

こんなにもあっさりと彼女の名前を呼ぶ彼に
驚きと、羨ましさが混じった

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『99』
「え！俺の方が年上じゃん！」

『え？そうなの？
　てっきり同い年だと思って』

99と言う事は
うちで言えばマクと同じと言う事だ

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「いいよ、いいよ～！
　俺、メンバー内で同い年って居なくて
　99年の子と友達だから！」

『でもジョンウは
　シワン先輩と同い年だよ』

「んぅ…A、何か言ったぁ…？」

『いえ
　何も言ってないです』

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シワンさんは酔いが最高潮に回り始めたのか
ここの店に着くなり、熟睡し始めた

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だけど、この人の面白い所は
そんな状態でも、自分の名前を言われれば反応する所だ

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