桃色の片思い (ページ2)

今日:9 hit、昨日:26 hit、合計:108,952 hit

02.運命の時ページ2

.

[ YOU SIDE ]

私が韓国へと来て数ヶ月が経った

カタコトな韓国語は未だに抜けないが
この生活にも少し、慣れてきた。

.

『私が、ですか…？』

「お願いだよA！
　ぶっちゃけ、この案件はAにしかお願い出来ない！」

そんな慣れてきた中
私は先輩であるシワン先輩からお願いをされていた

.

『ムリです！』
「ムリじゃなーい！」

シワン先輩は以前、日本で仕事をしていたらしく
日本語がとっても上手だ。

その事が理由で
彼女とは一番に仲良くなった

そんな今はその理由にプラスされ
彼女の人柄もまた、私が仲良くなれる理由である

.

日頃からよくしてくれている先輩には
是が非でも、期待には応えたい

しかし、先輩のお願い事が難関過ぎる為
どう考えてもムリなのだ

.

私が韓国に慣れている日本人ならまだしも
韓国へ来て浅く
まだ言葉の壁がある私には、無理難題であった

.

断るも、シワン先輩も諦めが悪く
粘ってきて、事態は一向に平行線のままだった

.

『他の方にお願いすればいいじゃないですか
　何で私に…』

「同担拒否だからムリよ」
『…』

.

シワン先輩のお願いはこうだ

“私が行けない代わりに
　アイドルの握手会に行ってサインを貰ってきて欲しい”と

.

冷静に考えて
私なんかではなく、同僚や友人に頼めばいいと思うが
どうやら彼女は同担拒否らしい

そこで、イマイチよく分かっていない私が
今回の先輩のお願い事に適任と言う事だそうだ

.

「本当は行けたのに
　何でそんな時に限って出張なのよ～！！！」

本来は行けたはずのイベントも

急遽、出張が入った先輩は行けず
だからと言ってお蔵にするのは、嫌だと

.

「倍率だって高かったのに
　奇跡の当選だったのよ！？！？」

「次も当るかもなんて
　生ぬるい考えは出来ないのよ！」

『…』

.

必死に説明をする先輩を見て
期待に応えたい気持ちが大きくなって

『…行きましょうか？』
「本当！？」

『サイン貰うだけなら
　私も出来るかもしれないです』

「A、大好きよ！！」

こうして私は、シワン先輩から頼まれた

“はじめてのおつかい in 韓国”を

後日、実行する事になった。

.