【短編集】Dear my princess【浦島坂田船】

先輩、人生相談です【snr】 ページ2

センラside


「先輩、人生相談です」


セ「は？」


部活の終わりを告げるチャイムが鳴り響く校舎で一つ下の後輩からそんなことを告げられた


セ「いきなりなんなんwなんかあった？」


「いえ。特に…ただ、センラ先輩ならいい意見くれるかなって」


セ「なんやねんそれ…」


僕に突然そんなことを聞いてきた理由は「なんとなく」らしい


でも、顔を伏せて少し手を震わせてその様子は必死そのもの


普段はカラッと元気で無邪気に「センラせんぱーい！！」とひまわりのような笑顔を向けてくるAとは打って変わった姿にさすがに心配になってくる


「センラ先輩は、好きな人、居ますか？」


どうしたん？と声をかけようとした時にポツリとこぼした言葉に思わず体が固まる


セ「好きな、人…か…おる、よ」


「そうなんですね…」


おずおずと言った感じで言葉をこぼすAを見ていると胸が苦しくなっていく


それと同時にAにこんな顔をされる男が羨ましいくなり腹立たしくもなった


なぜなら、センラの好きな人は目の前で肩を震わせているAだから


好きな人が好きな人の話をしているのはできれば聞きたくない。そう考えるのは普通だろう


「先輩はその人のどこが好きなんですか…？」


セ「好きなとこ、ねぇ…可愛いとこ、元気なとこ、無理しとるのにそれを気づかせずに無理するとこ、笑顔が素敵なとこ、無邪気なとこ…いっぱいあるよ」


全部、全部目の前にいる君のこと


なのに君はなんで


「先輩は、その人のこと大好きなんですね…！」


無理に笑うの？


セ「A…？」


「先輩。大好きでした」


腕に抱えていた部活資料がくしゃりと歪みそうなほど抱きしめていつもとは少し違った涙を流しながら笑って、それから走り出した


セ「待ってや！！A！！！」


そう叫んだ声は廊下に1人寂しく木霊するだけで夏が過ぎた廊下にはそよ風が吹いていただけだった

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