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「…前々から思ってたが、その『恩人』って誰なんだよ。話の感じから姉とは別人だろ?」


「さぁ、私もそれは知らない。男なのか、女なのかすらもね。君こそ、まだ好きなの?」






先程までの憂えげな表情から一転、胡散臭さを隠さないにこにことした笑顔で太宰が問う。





「何がだよ?」


「うちの子の事」


「…手前の子じゃねぇだろ」


「ふ〜ん、好きなのは否定しないんだ」


「…悪いかよ」


「別に?告白しないの?するならたくさん嫌がらせ(妨害)してあげるけど」






手をわきわきとさせた太宰が心底楽しそうに言えば、中原は目を伏せ「しねぇよ」とだけ答えた。





「二子から『恩人』の話を聞いた時に、失恋してんだよ。もう既に。
恩人について話す彼奴の目、誰よりも知ってる目だった。俺が彼奴に向けている目だったからな。それを聞いた瞬間、あぁ、勝てねぇんだなと思った」






中原の脳裏に、恍惚とした表情で恩人について語る二子の姿が過ぎる。
私の世界に色をくれた人だと、感謝してもしきれないと話す姿はまるで、恋する乙女の様だった。
その目を向けてくれるのが自分ならどれほど良かったか。中原は何度もそう考えた。
だが、終ぞ向けられる事は無かったのだ。





「…だから、しねぇって決めた。俺は彼奴が心から笑えるだけでいい」


「ふ〜ん、つまんないの」





興味を失ったように自分の爪を見だした太宰。
そんな太宰に苛ついたように中原が云う。





「手前こそ、その…彼奴の事どう思ってんだよ」


「え、なになに?中也ってば私が二子の事を女性として好きだとでも思ってるの?すっごい笑えるんだけど。




好きだよ




……って云ったら中也はどんな反応する?」


「殴る。手前のその無駄に綺麗なご尊顔がぐちゃぐちゃになるまで」


「相変わらず肉体言語以外の意思疎通(コミュニケーション)を知らないの?あー、嫌だ嫌だ」





地下牢に太宰の辟易しまくった声が響いた。
中原がしたかった訳でない漫談をしてしまっているのも、きっと太宰の嫌がらせのひとつなのだろう。

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もか@無気力(プロフ) - クロノトさん» コメントありがとうございます。そう感じていただけて何よりです(^^) (2023年3月1日 17時) (レス) @page3 id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 悪いのはお兄さんに感じるなぁ… (2023年3月1日 15時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
雪那(プロフ) - ありがとおおお (2023年2月16日 18時) (レス) id: fb86e70f16 (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - 雪那さん» ありがとうね雪ちゃん。(´;ω;`)ちゃんと見に行くね! (2023年2月16日 18時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
雪那(プロフ) - もかねぇ!評価したよ!更新頑張って!よかったら私のもみてくれると(( (2023年2月16日 18時) (レス) @page1 id: 69f58d7559 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もか@テスト死にそう | 作成日時:2023年2月16日 11時

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