【文スト】兄妹ごっこの成れの果て (ページ4)

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「おいで｡僕と家族になろう」

地下室｡冷たいタイルの上に横たわった亡骸と肉塊｡
縋る様に手を伸ばせば､優しく掴まれ立ち上げられる｡

未だに呆然としたまま亡骸を見れば､「森さんに話してお墓を作ってもらおう」と優しく語り掛けられる｡

その言葉にコクリと頷けば､彼…太宰治も満足そうに笑い､手を繋いだまま歩き出した｡

そこで意識が現実に戻った｡
なんという忌々しい夢を見たものだろうか｡
おそらく､やつがれちゃんを待つ間に､あの女学生が兄を庇って撃たれたところを見ていたからだ｡

寄りにもよってなんであの夢なんだ｡
…もう彼奴はあんな目を向けてくれないのに｡

燻ぶった感情を吐き出すように溜息をつき､寝台から出た｡

「おかえりなさいませ｡中原幹部」

「…おう」

ポートマフィアの地下通路､殺風景な廊下ですれ違った2人は互いに挨拶を交わす｡
葉山を見据える中原は､どこかそわそわとしているように見えた｡

「迎えに来てくれたのか?」

「まさか｡たまたま通りかかっただけです」

「…おい､その他人行儀な話し方やめろよ｡何にそんなにピリついてんのか知らねぇけど俺に当たんな」

「別に当たってない｡公私を分けてるだけ｡
…じきに判りますよ｡貴方にとっての最高の報道(ニュース)が」

仮面で分からないが､おそらくちらりと横目で中原を見ただけでさっさと行ってしまった葉山｡
中原はその背中を不思議そうにずっと見つめていた｡

「最悪｡うわっ最悪」

顔を顰めて心の底から呟いた太宰｡
だがそれは中原を喜ばせる材料にしかならない｡

「良い反応してくれるじゃないか｡嬉しくて縊り殺したくなる」

口の端を釣り上げ拳を鳴らす中原｡
だが､太宰は久し振りに会った元相棒を煽りまくる｡
中原も負けずと煽り返し､太宰の失敗が可笑しい事を追及した｡

「俺と戦え太宰｡手前の腹の計画ごと叩き潰してやる」

「……中也」

太宰がパチンと指を鳴らせば両手首に着けられた拘束具が外れた｡
「君が私の計画を阻止?……冗談だろ?」と云いながら呆れたように笑う太宰｡

「何時でも逃げられたって訳か｡良い展開になって来たじゃねぇか!」