感情を失った星と、臆病な雷 7

感情、にじゅうろっこめ ページ28

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A「無一郎」



無「なに？」









香袋を貰ったあと、えげつない程に無一郎にしごかれた









そして何故か名前呼びを要求された









A「新しい隊士、明日来るってさ」





無「…まだいるの？」









めんどくさそうな顔をする無一郎は、普段鬼を斬っているとは思えないような








年相応の顔をしていた









A「あは、頑張れ」





無「他の隊士、覚え悪すぎ」









今日のことを思い出すかのように呟く無一郎








確かに、私が言えたことじゃないけど







私もそう思う。









無一郎は教え方が上手いから









みんなもすぐに分かるはずなんだけど









ほとんどの隊士が教えられたことをできていなかった









無「Aは言ったことちゃんとやってくれるから、すごい楽」






A「言われたからやっただけ」







無「はぁ…全員Aだったらいいのに」









いや、それは気持ち悪いでしょ









私も嫌だわ









無一郎は月を見上げながら、「兄さん…」と小さく呟いた









…無一郎も、お兄さんがいたのかな









兄さん、と呟いた無一郎の横顔は









とても綺麗だった。









A「…お兄さんいるんだ」





無「うん…もう、いないけどね」





A「…そっか」









私も無一郎の隣に腰を下ろして、月を見上げる









もうすぐ満月だなぁ…









無「…Aは、会いたい人っている？」




A「会いたい人かぁ…」









会いたい人なら、沢山いる









父さん、母さん、お兄ちゃん









杏寿郎さん









今だったら、炭治郎と善逸、伊之助、禰豆子ちゃん、カナヲ、アオイ









なほちゃん、すみちゃん、きよちゃん









村田さんに獪岳くん









みんなみんな、会いたい









でもやっぱり、毎日会いたいって思うのは









A「…家族、かなぁ」









血の繋がった









大切な私の家族









無「…僕も、家族に会いたい」









無「もう一度、みんなで笑い合いたい」









そう言った無一郎から









私は目が離せなかった。

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