【オリジナル】君と夏と逃避行 (ページ2)

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「山下さん、え、なん、なんでここに？」

「あは、ブーメランでしょ。なんか開いてたから入った。ダメ元で来たんだけど、ラッキーだね」

"彼女"＿＿山下さんは、陽キャで明るい子だ。

陰キャにもちょこちょこ話しかける分け隔てないタイプで、いつも周りに人がいる。

彼女はいつも主人公だった。

楽しそうに笑っていたし、僕が見た限りでは悲しそうにしたり怒ったりしてるところは見たことがない。

かわいいし、当然モテる。

そんな彼女には、いつも周りにいる人たちがいない。

ダメ元で来た、と行っていたし、鍵が開いていたから入ったのも分かった。

でも、なんでわざわざここに来たんだ？

「ねぇ、一緒に話そ」

「え、...うん」

山下さんはちょこちょこと手招きをして笑った。

僕も山下さんに駆け寄る。

「日野くんはさぁ、いっつもここ来てんの？」

「うん」

「え、どうやって？」

「偶然、鍵が落ちてたのを拾ってから、僕は毎日来てるかな」

「え〜いいなぁ〜!こんないい場所を独り占めなんて、うらやま〜!あ、そうだ、ね、これからはわたしもここ来ていいかな」

山下さんはそう聞くけれど、実際僕が山下さんに許可を与える必要もない、というか、僕が許可できることではない。

でも多分そういうことではなくて、きっと、僕だけが独り占めしていた空間にいてもいいのかっていう意味なんだろう。

彼女は陽キャだけど、気も使える常識人で、居心地がいい。

それに、いつも人に囲まれてお弁当を食べたりしてるし、毎日来るわけじゃないだろう。

「うん、いいよ」

「やったぁ!ありがとう」

「...あの、僕からも聞いてもいい？」

「あは、もうそれ聞いてんじゃん!」

と、山下さんはけらけら笑いながら、いいよと言った。

「山下さんはさ、いつもお弁当一緒に食べる人がいるけど、その人たちとは食べないの？」

「んー、まぁ今日はいいかなーみたいな？」

彼女はポカリを一口飲んでから答えた。

なんというか、ふわっとしてて答えにあまりなってない気がする。

「そうなんだ」

「あ!もしかして、日野くんお弁当食べる人いないからここに来てるの？」

「え、あ、いや、」

しまった。図星を付かれてつい動揺した。でも、これじゃあそうですと言っているのと変わらない。

でも、山下さんは気にしない様子で、あははっと笑った。

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