君と僕と日常 ページ1
「....この公式を使って、この応用問題を解くことができます。ここはテストに出ますよ。分かる人?....」
初夏の風が教室に入り込み、カーテンがふわりと裏返る。
カツカツ、とチョークが黒板に当たる音と先生の話をBGMに、僕は窓の外を眺めた。
そして、僕は教室の済の時計をちらりと見た。
ちょうどその時。カチッ、と分針が動いた。
キーンコーンカーンコーン....
授業の終わりを告げるチャイムが響く。
「あぁ、もう終わっちゃった。じゃあノート提出して下さい」
はーい、とか、やっと終った〜!とか、ねぇ、今日のパン何にする?とか、途端に教室中がざわめき出す。
僕もノートを提出して、お弁当を取り出す。
そして今日も、『いつもの場所』に行く。
教室を出て、廊下を歩く。
僕は休み時間や暇なとき話すぐらいの人はいるけど、放課後遊ぶ約束をするような友達はいない。
いわゆる、陰キャと言える立ち位置なんだろう。
僕のクラスは、いつも騒がしい陽キャでリア充グループが陰キャにも話しかけるフレンドリーな人たちが多い。
だから僕みたいな陰キャもそこまで形見が狭いわけではないし、むしろ居心地がいいほうだ。
だとしても、一人だけぽつんと座って教室でお弁当を食べるのはなんとなく、惨めだ。
だから僕は、いつも屋上でお昼休みを過ごす。
屋上の鍵は基本開いていない。
だけど僕は、屋上への階段の前の廊下を歩いていたとき。
屋上への階段に落ちていた鍵が光っているのを偶然見つけたのだった。
その鍵を使って、僕は今日扉を開けようとするが、動かない。
どうやら昨日鍵を締め忘れたらしく、もう一度鍵を回した。
今度こそ、僕は鍵を開けた。
サアアァァ....と風が吹き抜ける。
そして、屋上の済に立っていた"彼女"が振り返った。
彼女の目が合う。
「...日野くん？」
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作者名：名無し43465号 | 作成日時：2021年2月5日 17時
