第18話 ページ19
美雪「………でも鍵穴から隣の部屋の様子が見れるなんて出来るの…？」
一「思い浮かべてくれ、この建物の構造を。
そもそも百日紅の間と椎名さんの部屋は似た間取りで設計されていて、
しかも二つの部屋は内扉でつながっていた。
椎名さんは自分の部屋の家具を百日紅の間とそっくりに置き直して、鍵穴から見える二つの部屋の光景を瓜二つにしたんだ。
つまり俺が覗いた、百日紅の間のドアの鍵穴からは椎名さんの部屋がみえていたんだ。
内扉の鍵穴に“ある物”を通して」
白石「ある物・・・？」
A「その方法は私たちよりも、医者であるあなた達のほうが詳しいんじゃないでしょうか…？」
一「俺は川崎先生に、それで胃を覗かれたことがある」
川崎「まさか・・・」
一「そう、内視鏡だよ。俺が胃の検査で飲みこまされたやつです。
椎名さんは肝試しが始まる前、あらかじめ食堂にあったスペアキーで百日紅の間に侵入した。
まず内視鏡の先端部分のレンズを内扉の鍵穴に突っ込んでおき、
もう一方の覗くほうを百日紅の間のドアの鍵穴に接着テープで貼り付けさらにゴミ箱を内扉の鍵穴の下に置いて、
仕掛けがすんだら部屋の鍵を閉めて、食堂に鍵を戻しておいて、森村さんを自分の部屋に呼び出し、薬か何かで眠らせた。」
A「後は肝試しが行われる午前0時のタイミングを見計らって
椎名さんの部屋で眠っている森村さんを吊りあげて殺害
内視鏡越しに椎名さんの部屋の光景が百日紅の間のドアの鍵穴に映る事によって
私たちは森村さんの死体を目撃した。」
一「その後、おれたちの悲鳴を聞いた椎名さんは、先端レンズを鍵穴から引っ張りだして回収し、内視鏡を覗くほうの部品をゴミ箱の中に隠した」
佐木「あの時聞こえた妙な音、その音だったんですね」
一「あとは皆が寝静まった頃にゴミ箱から接眼部分を回収して
タイミングを見て森村さんの死体を部屋の下に運べばいい」
白石「………じゃあ、加藤くんを殺したのも…？」
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作者名：捨て猫 | 作成日時：2015年1月14日 10時
