兄の友達 ページ1
俺と宝谷兄妹が通った私立一貫校は
小学校までは共学でクラス替えもなく
入学から卒業まで同じ顔ぶれで学んだ。
中学からは男女は別の学校になり
校舎の距離は離れ、路線も全く違う。
何でなんだって文句を言っても
色めいて綺麗になる女子たちは
タメの男なんて興味なさそうだったな。
高校になっても小学校時代のクラスメイト、
要は女の子たちと繋がってる奴はいたけど
無力な若人にとって距離は絶対だ。
物理的な距離を縮めるのは、気持ちで
そんなあやふやな物で繋がっていても、
結局は切れる。ほぼ例外はない。
Aは大親友の准一くんの妹で
縁が切れる可能性はなかった。
それに遊ぶエリア、買い物するショップ、
丸被りだったから頻繁に顔を合わせた。
お前さあ、早くに身長が伸びた割に
すぐ止まってしまったことを
ずっと理不尽だと怒っていただろ。
あれも可愛かったなあ。
「翔くん、会う度に伸びてるじゃない。
私、どんどん置いて行かれちゃう！」
不貞腐れた顔も、声も、
すっかり女の子になっててさ、
悪くないじゃんって思ったよ。
親心ならぬ兄の友達心だ。
A達のグレーのベスト、ブレザー、
短めの丈に直したスカートは
街でも目を引く制服だった。
インのシャツは自由だったから、
結構個性が出て、その度に印象が変わった。
中学では白いボタンダウンが多かっただろ。
高校ではそれが紺や深い緑になって
洗練されていったのを見ていたよ。
俺も好きな店のシャツを好んでるって
准一くんが言ってて、Aの誕生日にと
そこのトートバッグを買うのに付き合った。
青春だったなあ。
押しの強い男に弱過ぎるんだって
准一くんの嘆きを何度聞いたことか。
お前の隣には俺らとは違う制服の野郎、
ご丁寧にライバル校と呼ばれるような
そこそこ自己評価高めの爽やか系で
一見、人の良さそうな奴が多かった。
そいつに肩を組まれて、されるがままで
そのくせ俺を見つけると満面の笑みで。
「翔くん！会いたかった！」
隣の奴の顔、見てみろよって
言いたかったけど言わなかった。
密かな俺の勝利を楽しんだ。
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おはな(プロフ) - いちごさん» いちごさん、少し前のお話を、こうして褒めてもらえるなんて嬉し過ぎます。気になる所はもちろんあって、もう少し何とか出来なかっただろうかと思ったりします。それは、まあ、これからのお話で頑張ってみますね。どうもありがとうございました。 (2021年7月17日 17時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 久しぶりに読みたくなって読み返していました。いつ読んでもやっぱり素敵な作品です。 (2021年7月14日 11時) (レス) id: a03e1783da (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - むにゃむにゃんさん» 幸せな人を見ると幸せになりますよね。そうやって繋がっていけたらと純粋に思ったりします。お話の二人はきっと幸せまっしぐらですね。甘い甘い時間を大切に過ごしてくれることと思います。むにゃむにゃんさんの願いも叶いますように。 (2020年4月26日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - にゃんちきさん» 確かに現実から逃げたくなるような毎日ですね。厳しい現実に妄想の体力も奪われそうです。だからこそ、いつもと変わらない彼らの笑顔に安心します。辛いだろうし無念だろうし、でもちゃんと笑顔でいてくれる強さが頼もしい。私も次の準備を頑張ろうと思いました。 (2020年4月26日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - さとさん» さとさん、嬉しいコメントをありがとうございます。彼の甘い甘い気持ちの変化、書いて良かったなあと思っています。主人公はお嬢様なのでどこか鷹揚とした感じで書きました。気に入って頂けて良かったです。次の準備も始めようと思っています。またお逢いできますように (2020年4月26日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2020年3月15日 23時
