笑顔�� ページ16
海沿いを走る時、
その眩しさに睡眠不足が堪えた。
翔くんも小さくあくびをして、
隠すように咳払いをする。
週末の道は、それなりに混んでいて
途中で二度コーヒーを買いにコンビニに寄り
ゆっくりと目的の店に向かう。
家族と訪れたことのあるホテルの二階、
海に面したそのレストラン。
辺りには陽射しを遮る建物はなく
海の風が穏やかな今日はテラス席がいいかもしれない。
昔話も混ぜながら浮き浮きと会話を楽しむ。
それは確かに楽しくて、でも。
昨日豪華なお店でのディナーにときめいて
初めての夜を過ごした恥ずかしさの両方で
何となく今までとは違う空気が流れていて、
私が無口になったほんの僅かな時間、
翔くんはふわりと視線を向け、じっと見つめてくる。
照れたような、少し呆れたような、
初めての表情で言った。
「新鮮だな、そんなAの顔を見るって。
予想を越える可愛らしさで参るよ。
なんつうか、もっと見たくなる」
そんな風に言われて返事なんてできなくて。
「何とか言えよ、反応してくれって。
俺一人浮かれてるみたいで
すげえカッコ悪いじゃん」
「全然、そんなことない。
翔くんは、カッコいい。
私、ずっとそう思って見てきたもん」
数秒、沈黙が流れ。
「ばか、お前、急に何だよ、
直球で褒めんなって、困るだろうが。
あー、ヤバい、落ち着かねえ」
反応しろと言っておきながら
私の言葉に驚いたようで
翔くんの耳は真っ赤になっていた。
褒められ慣れているはずなのに、面白い。
こういう素直な反応をするところも
私はすごく好きなんだけど、
言わないでおこうかな。
もっと照れちゃうだろうから。
暖冬のお陰でテラス席でも寒くなかった。
ブランケットを借りて膝下を温めて
熱々のシーフードドリアを戴いて。
もうコーヒーは要らないって笑って、
焼き立てのアップルパイまで平らげて。
「完全なる目的達成だな、満足満足。
俺的にもう二つミッションがあるんだよね。
A、付き合ってもらえるよな？」
「うん、もちろん。
私がお邪魔じゃないなら、連れてって」
「いや、寧ろAがいないと
クリアできないんだよね。
ま、ＯＫってことでミッションを進めよう」
何でもミッションと捉える問題解決型思考は
お仕事人間だと言うだけではなくて
翔くん生来の性質なんだろうと知っている。
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にゃんちき(プロフ) - しんどい日々の中、完結お疲れ様です。おはなさんのお話を読み始めて約２年半。とても面白い書き手の方発見して興奮した記憶がございます。その間コメントは片手でも余るくらいしかしてなかった…申し訳ありません。ただ、本当に楽しく楽しみにしてますので(*´-`) (2020年3月2日 19時) (
レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
いちこ(プロフ) - おはなさん、完結おめでとうございます！最後の更新が甘く甘く…その甘さに痺れそうになりました…(号泣)おはなさんのお話は本当に心癒される現実逃避です！！！書き続けてくださることに本当に感謝ですm(_ _)mまた1から読み返して浸りたいと思います！ (2020年3月2日 12時) (レス) id: ac46d366ae (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - されていたら悲しくてどんなことが書かれていたのかなと考え込むほどでした。それほどおはな様のコメントを楽しみにしておりました。好きだからこそ、大切に思うからこそ、私にも理解出来ないほどの思いがあるかと思います。またいつかお話が読める日を楽しみにしてます (2020年3月1日 21時) (レス) id: 4c32e444f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 私は初めてコメントします。このサイト自体に、です。おはな様の全てのお話が大好きで良く読み返しもします。更新を楽しみにしているのはもちろんですが更新ごとにおはな様の言葉が更新されるのでそれもとても楽しく、ここに来るのに日が空いてしまいもし２回分更新 (2020年3月1日 21時) (レス) id: 4c32e444f1 (このIDを非表示/違反報告)
ろりぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます、ありがとうございました。おはなさんのお話に救われここまできました。幸せな姿を胸に、現実世界を駆け抜けます。ありがとうございました。 (2020年3月1日 11時) (レス) id: b196cd5c23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2020年1月21日 23時
