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「痛えっ！」
抗うこともできないで、
そんな時に限って
何も言えなかった私の耳に聞こえた、
品の無い、知らない男の叫び声。
腕に触れていた指が離れた。
それは野球のボールが飛んで来て
男の腕に綺麗に当って転がったからで。
ちょうど肘の下くらいだったと思う。
雅紀は小２でも強くて早い球を投げる。
だだっと走る足音がして
細い腕が私を抱きしめた。
「変態おやじ！くそおやじ！」
叫んだのは雅紀。
私は声を出せなくて
ただ涙がぼろぼろこぼれた。
走り去る車に向かって
「３、５、７、ああ、見えないよお」
雅紀はナンバーを叫ぶように読んで。
駆け付けたクリーニング屋さんに
Aちゃんが、Aちゃんがって
一生懸命説明しようとしていた。
でも雅紀も泣いちゃって、
きちんと話せなかった。
その悔しそうな顔を見て、
また私も涙がこぼれて。
怖くて、怖くて
自分に起きたことが信じられなくて
私は何もできなかった。
ナンバーを叫んだ雅紀が頼もしかった。
私を守ろうと必死だった声。
双子ってだけじゃなく私たちの絆は強いと
はっきり分かった出来事だった。
あの時の男の目は忘れられない。
だからと言って人相を覚えている訳でもなく
前後の記憶は飛び飛びで、曖昧だ。
心配そうな、憐れむような大人の顔、
絶叫して私を抱きしめた父と母。
だから雅紀は、今も私に優しいんだと思う。
バイトや勉強でどんなに疲れていても
必ず最寄り駅まで私を迎えに来る。
免許はそのために取ったと言って憚らない。
もちろん、彼女も同じように送って行く。
例え、飲み会の後、深夜になっていても
ご両親が行けないとなれば、
ただ送り届けるためだけに出かけて行く。
女の子を守ることが使命みたいに思ってる。
だから。
虫よけのペリドットは、本気の本気で
Ｍ＆Ｔも雅紀の本気の本気。
少し方向性に問題を感じなくもないけど
彼氏のいない身では、正直雅紀が頼りだ。
小学２年生で多少なりとも
人間、男性不信となった私は
櫻井先輩のように確実に振られる片思いしか
恋の経験は、ない。
向こうっ気が強いくせに
臆病ですぐに怯える。
解放された空間以外では
二人きりになることさえ難しい。
雅紀の心配は尽きない。
ごめんね、雅紀。
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おはな(プロフ) - おのりさん» おのりさん、初めまして、ですよね？おはなです、コメント頂きありがとうございます。どうしても切ない展開になってしまうのですが、主人公に思いを乗せてしっかり書いていきますのでお付き合いくださいね。 (2019年3月13日 21時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おのり(プロフ) - 読ませていただいています。更新ありがとうございます。続きも楽しみにしています。 (2019年3月10日 2時) (レス) id: 78be9ab997 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - mikkyさん» 松本くん、確信犯ですよね。櫻井先輩の弱点かもしれません。ＭＪに激甘の姿をよく見ますしね。大人になっても可愛くて仕方ないんだろうなとＴＶを前に萌えること頻回です。次章も振り幅大きめでいきたいと思っています。どうぞお越しくださいね。 (2019年3月9日 17時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ひびきさん» ひびきさん、仰る通りです。櫻井先輩の隣にいられる、おでこにチューされる。助手席に乗れる、頬を包まれる。至極の喜びですね！一つ一つ、大切にして３カ月を過ごそうと思います。どうせなら思い切り加速しちゃいましょう！ (2019年3月9日 17時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 帝王様からの激甘彼氏。その振り幅に白旗です。櫻井先輩の不機嫌に煽ってくれた松本くんに感謝カンゲキです。お部屋訪問は緊張ですね。どうなるんですか...？またの更新待ってます^ ^ (2019年3月7日 0時) (レス) id: fd56c0dfc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2019年2月9日 18時
