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「あら？前にお見かけしたことがありますよね？
あの、翔の編集さんでいらっしゃいます？
ごめんなさい、もう失礼しますので」
小さく会釈をされた時、
いい香りがして女性らしさに息を飲んだ。
悟ってしまった。完敗だ。
何にも勝ててない。
勝負になってない。
その人はドアの中を振り向いた。
「翔、編集さんだわ。
投げキッスのお返しは諦めてあげる」
お部屋の中に向かって
楽しそうにそう言った。
それから私へと向き直る。
「翔、少し疲れてるみたいです。
だからご機嫌はもう一つですけど
慣れてらっしゃるかしら。
よろしくお願いしますね」
私に可愛らしく笑いかける余裕を見せて
最後に礼儀正しくお辞儀をして去っていく。
遅れて出てきた美貌の売れっ子作家を
見ることができなかった。
下を向いたまま先生の爪先を見ながら
早口でご挨拶する。
「お邪魔をして申し訳ございませんでした。
大変失礼いたしました。
あの方を追いかけてお引き止めしますので
お待ちくださいね」
後半はエレベーターに向かいながら
言ったので
先生には聞こえなかったかもしれないな。
でも、ごめんなさい、先生。
エレベーター、閉まっちゃった。
せっかくのお二人の時間、
不可抗力とは言えお邪魔しちゃった。
何故だか私が泣きそうで。
放心状態。
「おい、原稿取りに来たんだろ、神埼」
大好きな低音は、
やっぱり怒ってる様子だった。
でも。
先生を見ることができない。
馬鹿だなあ、原稿を貰えるっていうのに。
それ以上大切なことなんてないのに。
閉まったエレベーターの扉を見ているだけで
何もできないなんてね。
やっぱり馬鹿だなあ、私は。
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おはな(プロフ) - 橘花さん» 橘花さん、「同じベッドで同じ夢」ってなかなかのフレーズですね。そういう二人になれたら幸せなんだろうと思います。まだハードルがありそうですから油断はできない感じでしょうか。でもまあ、３７階のバーで飲むショウ・サクライ、ひえええってなりますね！ (2018年6月24日 15時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - ホテルのバーにスイート。。さすが人気作家！落ちた彼女は、落とした彼は、これからどうするのでしょうね。2人同じベッドで同じ夢を見られるのでしょうか。先生はまだ言葉にはしてませんよね？？でもひとまず1歩踏み出した主人公ちゃんおめでとう♪ (2018年6月23日 22時) (レス) id: c285604a1b (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - mikkyさん» mikkyさん、コメントありがとうございます。何と言うか、極上の夜を用意されておずおずと一歩、二歩進んだ彼女です。櫻井先生はぞんな彼女をどう見て思っているんでしょうね。先生の気持ちも深さも書けたらいいなと思ってます。 (2018年6月23日 18時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ささたくさん» こんないい男、加えて人気作家という櫻井先生ですから、多少の複雑さは仕方ないかと。ひとつ前に恋で傷ついてしまっている彼女にとっては、本当に脅威でしょうね。武器は純粋さでしょうか。応援して頂けて嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2018年6月23日 17時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - sallysally67さん» sallysally67さん、「二人で落ちていく」って刺さりますね。いいなあ、それって思いました。櫻井先生と彼女がそうなるかは別にして、何だか妄想力が湧き上がります。揺れに揺れてもなびかない彼女を先生にだけは分かってもらいたいと思ってます。ありがとうございました (2018年6月23日 17時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2018年6月9日 23時
