25 ページ25
「あ、神崎、昼食べた？
まだならさ、付き合えよ。
パスタ食いに行こうぜ」
「いいよ、ご馳走してくれるの？」
「ああ？
調子こくな、神崎のくせに」
ほんと毎回確実にディスってくるな。
せっかく相葉先生の甘い声の余韻で
気分良かったのに、ぶち壊した罪は重いぜ。
ふん。行かないことにしよっと。
今は1人でいいもんね。
「前言撤回しまーす。
社に戻りまーす。ご機嫌よう」
小さく手を振って、
あくまでも友好的に辞退する。
急ぎの仕事はないし、
外のベンチで木々を愛でながら
ワゴンのランチボックスでも食べよう。
手をひらひらさせたまま
松本の前を横切って
ちょうど青になった横断歩道を渡る。
と、思ったら進まない。進めない。
なぜに私の腕をつかむのか、松本よ。
「何よ、離して！
青なんだから！」
「待て、悪かったよ。
突っかかんなよ、神崎。
行こうぜ、パスタ。な？」
今日はイケメンによく謝られる日だな。
松本の分は、別に嬉しくもないけどね。
許される前提の笑顔がムカつくのよ。
何なの、一体。
「怒んなって、機嫌直せよ」
「いや。パスタいらない」
「だから悪かったってば！
そんな怒んなくてもいいじゃん。
ご馳走するよ。
最初からそのつもりで誘ったんだし」
二の腕、掴みやがって。
ぷよぷよ具合が恥ずかしいじゃないの。
往来の中、数秒、睨み合った。
正確には、睨んでいるのは私だけ。
松本は、変わらず綺麗に微笑んでいる。
な？ってもう一度微笑んだ。
ああもう、カッコいいな！
「おい松本、その手を離せ」
それは。
地の底から湧いたような、
低く響く大魔王の声。
「あ、櫻井先生じゃないですか」
その威嚇に負けない爽やかさで
松本が返した。すごいメンタル。
私はもうびびってるよ。
松本の手が腕から離れてホッとする。
「先生、早かったですね。
今、神崎を誘って店に行くところでしたよ。
ちょうど良かった、一緒に向かいましょう！」
え？
ええ？
櫻井先生もご一緒なの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1540人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはな(プロフ) - ゆいさん» ゆいさん、コメントありがとうございます。まだまだ翻弄される予定でいます。甘い、辛い、甘い、キツいと絶妙に繰り返してハマっていきます。抜け出せるはずもないですよね。次章もお越しくださいませね。 (2018年6月10日 16時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しませて頂いてます。今回も辛いのと甘いの両方で攻められましたね。他の女性と親しくしてるところを見せられて、可愛い飴を貰うとか！どっちなの？ねえ、どっち？って首根っこ掴んで問いただしたい気分です。…、悲しい気持ち、分かります。本当に腹立たしいです。 (2018年6月9日 15時) (レス) id: 57325286d2 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - yuriyuriさん» yuriyuriさん、俺様作家をおちょくる大野さんをお届けしました。Ｊの毒舌も入ってます。彼らのあれこれを妄想するのは楽しい！この楽しみが思わぬ不慮の事故で奪われないよう願い続けます。コメントありがとうございました。 (2018年6月9日 15時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
yuriyuri(プロフ) - 素っ気ない大野さんも素敵ですね(*´∀｀*) 櫻井さんみたいなオーラのある人が居たら、自然と見ちゃいますよね笑笑 見るつもりは無くても、自然とそっちに目が向いてしまうって感じですよね！ イケメンが周りにいて羨ましいです笑 次の更新も楽しみにしてます！ (2018年6月6日 13時) (レス) id: 3bf3aab871 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - 橘花さん» 橘花さん、まさに「ときめきと絶望」の両方を味わう展開です。彼女も辛くなってしまいました。さあ、どうしましょう。大人ですから、つまずくことがあってもすぐに軌道修正して、淡々とお仕事するんでしょう。この後もお付き合いくださいね。 (2018年6月5日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おはな
| 作成日時：2018年5月26日 18時
