触れた左の頬 ページ18
先生がそうって言って、少し沈黙して。
それから、櫻井先生はピアノが趣味でとか、
私の母が実家で茶道をやってますとか、
またコンサート行こうか、とか。
そんな話で１時を過ぎていた。
お店を出る。
「悩み相談じゃなかったね。」
「でも楽しかったです。
私、やっぱり先生とお話するの、好き、かも。」
「うん？」
先生と目が合う。
冬の夜更け。
辺りに人の気配はない。
恥ずかしいけど、じっと視線を合わせる。
時間が止まった。
先生の手が、私の左頬に触れた。
熱い。
泣きそうになる。
「そういうこと、言ったらだめでしょう。
その顔も。
もう、送るよ。」
時間が動き出した。
タクシーが止まる。
私の後に、先生が乗る。
「借り上げのマンションで良いの？」
「はい。」
と、言うと先生が道を説明してくれる。
その後、先生は、何も話さない。
まっすぐ前を見て、唇を指で撫でている。
考えごと？
すっと息を吸ったかと思ったら、
「送っていくだけ。心配しないで良いよ。」
って。宣言？
「分かってますよ。櫻井先生のこと、信頼してますから。
それに前に言ったとおり、私、異性として認識されないタイプなんで。」
「そうじゃない。違うよ、星月先生。
君は充分魅力的です。」
何を言えば良いのか分からなくなる。
どう受け取ったら良いんだろう。
妙な間が空いてしまう。
「聞いてた？充分魅力的だと思ってるよ。」
俯いて黙る私に、もう一度嬉しい言葉をくれた。
「だから、自信持って。」
ああ、慰めてくれているってことですね。
「はい。がんばります。」
「そのままでいいよ、がんばらないで。」
どうでもいいってことですね。
合わせます。
「櫻井先生、優しい。」
「今、気付いたの？」
って、ふざける先生。笑い合った。
泣きそうなのに。
「もう、着くね。」
「はい。」
タクシーがマンションのエントランス前に止まる。
一旦降りた先生が、
「じゃあ、おやすみ。」
ちょっと首を傾げて優しく微笑んだ。
「もう入って、上がって。」
さっさと行けということですね。
病院関係者に見られて、勘違いされたら迷惑ですものね。
「送っていただいてありがとうございました。
また、誘ってください。」
と、ちょっと早口で言って。
エントランスに入った。
先生が触れてくれた左の頬。
思い出すと心臓が跳ねる。
先生は、いつも私を近づけて
やわらかく遠ざける。
背後に、タクシーが遠ざかる音を聞いた。
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おはな(プロフ) - らんまるさん» コメント、ありがとうございます。先生の本気を何とか示せるようにがんばります。個人的にはグイグイとじわじわと、両方で来てもらえると嬉しいです。 (2016年7月10日 14時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
らんまる(プロフ) - やっと！お泊り！「邪な気持ち」でいいから、先生、グイグイ来て〜！ (2016年7月10日 12時) (レス) id: 5d10617f7a (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ゆかりさん» 今日のワクワク学校では、二宮くんと櫻井くんの息がぴったり合って、最高のコントが見られました。ＷＳが楽しみです。チェックしてみてください。ご感想、ありがとうございました。 (2016年6月26日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 二ノ翔ちゃん大好き愛してる (2016年6月26日 9時) (レス) id: 59f29188ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月25日 14時
