纏う香り ページ11
会場に向かう。
沢山の人とすれ違う。
先生を見て、表情を変えるのが分かる。
注目って、こういう状態を言うんだと納得する。うん。
学生時代から、ううん、もっと小さい頃から
こうして視線を集めて生きてきた人なんだろう。
堂々と、臆することなく。
並んで歩いても、今日は腕を差し出したりしない先生。
先生も作戦があるのかもしれない。
でも、ヒールの私に合わせるようにずっと左側を気にしてくれている。
嬉しくて見上げたら、目が合って。
ふたりで、ふふっと笑う。幸せ。
一番大きなホールで、隣に座って講演を聴く。
隣でサラサラっとメモを取る音。
先生、今日は香りがする。
甘くなくって、ちょっとスパイシー。
いつもは全く気付かないから、きっとＯＦＦの時だけつけているんだ。
そんなことを知って、また嬉しくなる。
私も今日は、香りを纏ってきた。
コンサートの時と同じローズの香り。
トップは、みずみずしく香って徐々に重厚になる。
覚えてもらえてるかな。どうかな。
途中で先生に黒糖ミルクの飴を差し出したら、
「ありがと。」
って、小さく言って袋を破って口に入れた。
ゴミになった袋を受取ろうと手を出すと、
ん？って顔をしてから、乗せてくれる。
触れた。手のひらが熱い。
どうってことない表情を作る。
なのに、ふって笑われた。
講演が終わって出口に向かう。
また、人の波に飲まれそうになって、
「あのねえ、学習しなさいって。」
呆れたように拳で口元を押さえながら笑っている先生。
腕を掴まれる。
「すみません。」
「まあ、良いですけど。」
ようやくホールから出て、
「じゃ。」
と、手を振る。ふわっとした笑顔。
周りの女性の皆さんが、私と先生を比べるように見てる。
気にしない、動じない。
つまらない感情に捉われない。
弱気を振り切って、先生に小さく手を振った。
別々に回った後、ランチは少し離れたホテルのラウンジで。
「あそこで学会の時は、いつもランチはここにしてるんだ。案外、混まないんだよ。」
って、教えてくれた。
また一つ、櫻井先生を知る。嬉しい。
先生は、チキンのカレー。
私はサンドイッチのプレートをオーダーした。
「今日は、同じ物にならなかったな。」
「だって、先生。この白いシャツにカレーが付くのが嫌だったんです。」
正直に言った。
「おお、そうだな。そりゃ、引くわ。」
二人、顔を見合わせて笑った。
今日は、良く笑うなって。
先生も。
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おはな(プロフ) - らんまるさん» コメント、ありがとうございます。先生の本気を何とか示せるようにがんばります。個人的にはグイグイとじわじわと、両方で来てもらえると嬉しいです。 (2016年7月10日 14時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
らんまる(プロフ) - やっと！お泊り！「邪な気持ち」でいいから、先生、グイグイ来て〜！ (2016年7月10日 12時) (レス) id: 5d10617f7a (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ゆかりさん» 今日のワクワク学校では、二宮くんと櫻井くんの息がぴったり合って、最高のコントが見られました。ＷＳが楽しみです。チェックしてみてください。ご感想、ありがとうございました。 (2016年6月26日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 二ノ翔ちゃん大好き愛してる (2016年6月26日 9時) (レス) id: 59f29188ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月25日 14時
