参道 ページ26
冷たく澄んだ空気。
でも痛くない冷気。
静かな山の中、
参道を二人で歩く。
真っ直ぐに伸びた木々に囲まれて、
枝には、雪が残っている。
ぬかるんだ所で、
んって、翔さんの手が伸びてきて
引いてくれる。
温かい手。
温かい気持ち。
ゆっくりと登って行く先には、
翔さんに案内されて
訪れた神社。
「ここでさ、
親父のこと願ったりした。
医学的には、難しいって
分かってたんだけど。」
「そう。」
「そんなこともさ、
Aに知って欲しくて。」
「うん。」
「Aのことも、教えて。
今までのこと、できるだけ。」
「はい。私も知って欲しい。
楽しい思い出だって
たくさんあるし。」
「そっか。良かった。
今度、Aの実家の辺り、
散歩しような。」
飾り気のない言葉。
まるでお天気の話をしているような、
穏やかな口調で。
多分、
一生の決心をしている私たち。
雪解けの水が流れていて
その音も澄んでいる。
つい、足を止めて
流れを見ていた私に、
「どうした？疲れた？」
気遣いが細やかな翔さん。
「ううん、水の流れとか音とか
何だか心地良くて。」
また、歩き出す。
「Aは、田舎で暮らしたこと、
ないんだっけ？」
「うん。ずっと実家だったから。」
「大学、通うの大変だったろ。
２時間位？もっと？」
「電車の時間が合えば、その位。
合わないと、もう３０分かな。」
「一人暮らしなんて
お父さんが許さなかったんだろ。
想像できる。」
翔さんが、手を引いたまま
振り向かずに話し続けて。
「お父さんの気持ち、分かるよ。
心配かけないようにしないとな。
俺、絶対すっごく怒られる。」
砂利を踏む音が二人分。
響いている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 894人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはな(プロフ) - mogmog5さん» mogmog5さん、ええっと、スピンオフの方にコメント頂いたことがあったような気がするのですが。「初めまして」だったでしょうか。勘違いならごめんなさい。その先もその先も幸せでいたいですよね。甘々、しばしお待ちくださいね。しかと受け止めております。 (2017年4月9日 22時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ささたくさん» ささたくさん、見出しの文章までしっかり読んで頂けて感激です。ありがとうございます。先生の愛が溢れる優しい言葉を見つけて書いていきますね。「信じることがすべて」ですもんね。頑張ります。 (2017年4月9日 22時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - keiさん» keiさん、コメント嬉しかったです。「思うまま」書いてしまおうと決めました！とことん幸せになるには、クリアしなきゃいけないことがあって、そこのすれ違いを書きたくて。きっと誰しも経験することですものね。楽しんでもらえるといいな。 (2017年4月9日 22時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - sallysally67さん» sallysally67さん、いつもコメントありがとうございます。「思いっきり愛し愛され」たいですよね。全く同感です。先生からは、たくさん言葉が欲しいと思ってます。あの声で脳内再生したくなるような。ちょっとすれ違いますけど幸せを目指しますね。 (2017年4月9日 22時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - mikkyさん» mikkyさん、コメントありがとうございます。私の体調までお気づかいくださって、恐縮です。「心にすっと入る」ようなお話になっていると嬉しいです。mikkyさんが好んでくださっていること、とっても励みになります。頑張りますね。 (2017年4月9日 22時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おはな
| 作成日時：2017年3月10日 10時
