楽しそうな先生 ページ44
「本当に？」
うんって、頷く先生。
「本当なら嬉しいです。
お仕事以外のお話ができると思ってなかったから。
櫻井先生とこんなお話ができてるなんて、
ちょっと感動してます。」
「大げさ。でも仕事の話もしたいの？
いいよ。じゃ、行こっか。」
小さなビルの最上階。
鉄板焼きのお店に入る。
窓から大きな池とその向こうに
暗くなってきた夕焼け。
星がひとつ、見える。
カウンターの席に着くと、
「食べられない物、ある？
好きな物は、きっと同じだもんね。」
「食べられない物はないです。
お肉も魚介も好きです。」
「じゃあ、任せてね。」
スマート過ぎて目眩がしそう。
こんな近くで横顔を見たの初めてで。
はっきりと大きな瞳。
通った鼻筋。
赤くふっくらした唇。
あごのラインが綺麗。
太い男らしい首に、逞しい血管。
いい血管だな。
腕の血管も、
まっすぐで何でも穿刺できそう。
見とれてしまう。
「ふふっ、無口になったね、
どうした？」
「えっ、いえ、血管に見とれてました。
すみません。」
「ははは、いいけどさ。
血管に目がいくって、俺、色気なさ過ぎだよね。」
「違いますよ、ついつい。」
「まあ、分からなくもない。
研修医あるある、だよね。」
「すみません。」
「いいよ、そんなに気にしないで。」
先生の「いいよ」って声、すごく好き。
サラダとスープがテーブルに乗る。
いただこうって甘い声。
味なんて分からない。
と、思ってたけど。
美味しい！
魚介もお肉も美味しくて、
お野菜も香り良く
絶妙な火の入り方。
「素敵なお店ですね。」
って、言うと
「ですって、シェフ。
ぼくの面目も保てましたよ。」
眼の前で焼いてくれていたシェフが、
ありがとうございますって頭を下げた。
デザートまで残さず頂いて。
「行っておいで。」
って、促されてトイレに行っていた間に
お会計が済んでいた。
先生、かっこよすぎです。
誰でもきっと恋してしまう。
緊張していたし、
ちょっとワインも飲んでしまったから、
エレベーターに乗るときにふらついてしまった。
すっと腰を抱かれる。
身体の奥から何かが突き上げて
ぞわっと鳥肌が立つ。
ああ、でも。こんな大きな腰で恥ずかしい。
ふっと笑われた気がする。
「笑いましたね。」
って、言ったら
「違うよ、拒否されなかったから
嬉しかっただけ。
このままでいいかな。
本気で怒られるまで、こうしていようっと。」
楽しそうな先生。
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智美(プロフ) - 最初の方のページはほとんど(私の姓)や(私の名)というふうになっていて読みにくいです。修正お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2019年2月10日 14時) (
レス) id: b9bab58b14 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり(プロフ) - ところどころお名前が唯になっています(;o;) (2017年7月3日 11時) (レス) id: 30427f3e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月7日 14時
