スタートライン ページ4
研修医が医局を後にするのは、大抵１９時過ぎ。
中には、夜中まで勉強する人たちもいる。
医師免許を取得したからって、
それで一人前になれる訳もなく、
それぞれ必死になって努力を続けている。
でも一年目の時に櫻井先生が
「一生で一番勉強したのが研修医の時だよ。
この時期の勉強が、今も自分を助けてくれてる。
だからとにかく頑張れ。」
ってアドバイスをくれた。
それと
「みんな優秀な学生だっただろうから、
プライドはあると思う。
でも、成長には素直が一番だからね。」
と。
それはずっと心にあって、守っている。
その先生と小椋先生が付き合ってたなんて。
櫻井先生と小椋真紀子先生は、
同期で論文の執筆や学会発表も多くて、
それぞれの科のエースって位置だ。
容姿端麗、頭脳明晰、それからなんだろう、
とにかくちょっと頭抜けた二人。
レベルが違う。勝ち目なし。
「勝ち目」って、私、何の勝負をする気なんだか。
スタート前から叶わないことが
分かってしまったというのに。
自転車で病院が借り上げてくれている、
研修医の寮に帰る。
寮と言っても普通のマンションだから、
快適な一人暮らしをしている。
しかも５階の角部屋、１ＬＤＫのマイルーム。
こんな所で人生のラッキーを使っているのかも知れない。
帰宅したら、まずうがい・手洗いをする。基本中の基本。
洗面台に立って鏡を見た。
見たくもない。
卵というより丸顔。
ぷよぷよした頬。
小椋先生はすっきりとしたフェイスラインが
女性らしい儚さを造っている。
私は健康そのもの。
視線を下げると、手もぷくぷくしている。嫌い。
安定感のある腰回り。
背も低い。
本当に嫌い。
櫻井先生は、スレンダー美人が好きなんだ。
そうなんだ。ふうん。
全然、ショックじゃない。
ショックじゃないのに、
ぽろん、と涙がこぼれた。
スタートラインにも立てないんだ、やっぱり。
そうなんじゃないかと思ってた、分かってた。
もう一粒、涙がこぼれる。
慌てて顔も洗った。
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智美(プロフ) - 最初の方のページはほとんど(私の姓)や(私の名)というふうになっていて読みにくいです。修正お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2019年2月10日 14時) (
レス) id: b9bab58b14 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり(プロフ) - ところどころお名前が唯になっています(;o;) (2017年7月3日 11時) (レス) id: 30427f3e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月7日 14時
