リスクマネジャー部会 ページ29
行ったことのない会議室。
研修医の立場で遅刻する訳にはいかない。
１０分前に着席して配布資料に目を通す。
今日は月曜日で、
櫻井先生は外来診療の日だからネクタイ着用のはず。
いつもＹシャツの身頃と襟の色調や、
ネクタイとの組み合わせのセンスが良くて、
楽しみにしていた。
頬が緩むのを感じる。
続々とドクターが集まってくる。
相葉先生が座った。
っていうか、雅紀さん。
ニコッと笑顔で会釈される。
相変わらずのカッコよさに息を飲んだ。
ドキッとする。
なんとか私も笑顔で会釈した。
視線を感じて目をやると櫻井先生が、
相葉先生と二つ椅子を空けて座るところだった。
頭を下げる。だめ、笑えない。
冷たい視線が向けられていること、
分かってしまった。
今日の色合わせを確認できないまま。
それどころじゃ、なくなってしまった。
「何の関係もない」って言われていると感じる。
一瞬で悲しみに覆われる。
小さく深く絶望。
会議が始まる。
医師マニュアルの改訂が主な仕事になるらしい。
急に櫻井先生から
「A先生には研修医の立場から、
より具体的なご意見を上げて頂きたい。」
と、指名される。
「A先生は、
しっかりしたリスク感性をお持ちなので。」
と。
続いて相葉先生も
「そうですね、
A先生の意見は貴重ですね。
いつも感心してます。」
と、褒められた。
「ありがとうございます。
ご期待に応えられるよう励みます。」
ちょっと上ずった声でお礼と決意を述べる。
櫻井先生が、優しく微笑んでいる。
今日は、薄いラベンダーの身頃に襟は白。
紺とピンクのラインが入ったネクタイが、
大きな瞳を引き立たせている。
ポーっと見とれてしまった。
実は内緒だけれど、大学時代、
相葉先生と優美は
２年ほど付き合っていた。
私も何度か会って
名前で呼び合うくらいに親しくなった。
雅紀さんは、繊細で優しくて、
自分より相手の気持ちを優先してしまう人。
優美と同じ。
別れる結果になったけど、
お互いを理解し合い慈しみ合うカップルだった。
この病院に来て再会して驚いた。
雅紀さん改め相葉先生は、
「別に良いんだけど、まあ内緒でね。」
って、キラースマイルを放ったっけ。
大丈夫よ、雅紀さん。
私、口は相当固いです。
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智美(プロフ) - 最初の方のページはほとんど(私の姓)や(私の名)というふうになっていて読みにくいです。修正お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2019年2月10日 14時) (
レス) id: b9bab58b14 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり(プロフ) - ところどころお名前が唯になっています(;o;) (2017年7月3日 11時) (レス) id: 30427f3e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月7日 14時
