低い恋愛偏差値 ページ25
「すみませんでした。」
挫けそう。堪える。震える。
「では、失礼しま、」
「行かないよ、その二人とは。」
遮るように、先生が言う。怒ってる？
まっすぐに私を見ている。
「ね、A先生。クラシック音楽に興味はある？」
いつもの表情に戻っている。
良かった。力が抜ける。
「あります。詳しくはないですけど。」
「そう、良かった。なら、一緒に行く？」
「え？ええっ？私ですか？え？」
「ははは、疑問多過ぎ。
頑張ってるご褒美ってことでどう？」
「是非、行きたいです。
よろしくお願いします。」
「あはは、大げさ。
何をお願いされちゃったの？まあ、じゃ、約束ね。」
あっという間にデートが決まった。デート？
戸惑って挙動不審気味の私を
「送るよ。」
って、助手席に連れて行かれる。
「ノンアルコールしか飲んでないから、大丈夫だよ。
これから実家に行くんでね。」
ええ、知ってます。ずっと見てました。
パタンとドアが閉まる。先生が隣に滑り込む。
ふわっと香る。痺れる。
何も話さない私に
「みんなに気を配って、疲れたでしょ。
寝てていいよ。
借り上げの寮の住所だけ、ナビに入れてくれる？」
「はい、ありがとうございます。
先生、私が寮に住んでること、ご存じなんですか？」
「ああ、前に誰かから聞いた。５階の角部屋、だよね？」
こんなどうでもいい、私の部屋のことまで覚えてるなんて。
素晴らしい記憶力。
緊張でまっすぐ前を向いたまま、
お肉が美味しかったとか、
先生モテモテですねとか話した。
もう喉がカラカラに乾いている。
何とか持ちこたえて到着した。
「ありがとうございました。」
「ちょっと離れた所でごめんね。」
もう限界。
車を降りて見送った後、
その場にしゃがみこんでしまった。
部屋に帰ってから、冷静になると
本当にご実家に向かったのかという疑問が沸いた。
実家に帰るからってあんな盛り上がりの中、
飲まないでいられるもの？
彼女に会いに行くため？
でも、だったら彼女をコンサートに誘うはず。
彼女と予定が合わなくて？
でもコンサートは１ヶ月も先のこと。
ああもう、分からないことが多過ぎる。
車の中で何を話していたんだろう。
肝心なことが何も聞けていない。
こういう所に
恋愛偏差値の低さが出てしまうんだ。
結果、デートの約束を喜ぶより
自分の至らなさに落ち込んで。
ああ、デートではなくて、
コンサートにたまたま二人で行く日ってこと。
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智美(プロフ) - 最初の方のページはほとんど(私の姓)や(私の名)というふうになっていて読みにくいです。修正お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2019年2月10日 14時) (
レス) id: b9bab58b14 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり(プロフ) - ところどころお名前が唯になっています(;o;) (2017年7月3日 11時) (レス) id: 30427f3e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月7日 14時
