蜜蜂と花《青》 (ページ6)

今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:282,620 hit

6 ページ6

『はっ』

突然の質問に驚いて掠れた声を発する

｢やってさー、今まで一回も藤井くん見てきゃーとかわーとか言ってるん見たことないんやもん｣

わーきゃー言うはずがない

彼には大して興味は無い

｢Aちゃん、美人やし優しいし頭良いし運動神経も良いし、藤井くんから言い寄られたこと無いん？｣

そんなの

『一回も無いで』

ある訳が無い

彼とは一度も面識が無いのだから

杏｢Aも気を付けなよ～｣

なんてこちらを見ながらニヤニヤしてくる彼女に対し、貴方にだけは言われたくない

心からそう思った

杏｢ま、Aには重岡くんがおるからね～｣

男子の方へと目を移すあんちゃん

｢え！Aちゃん重岡くんが好きなん！？｣

｢確かにいっしょに帰ってるとことか見たことある！｣

なんて興奮した様子の皆に

『いや、好きちゃうよ』

その時、大毅とﾊﾞﾁｯと目が合った

彼は笑顔でこちらにぶんぶんと大袈裟に手を振る

そんな彼に対してﾍﾞｼｯと頭を叩く男子

痛がる素振りを見せながら、やり返そうと叩いた男子を追いかけ回す

そんな様子を見ながら

私は思わずふふっと笑ってしまった

『幼馴染みやで』

私の大切な

幼馴染み

｢幼馴染みなんてええな～｣

｢でも、意外とお似合いやで！Aちゃんと重岡くん｣

と、ここで３時限目終了を知らせるチャイムが、体育館内に響き渡った