蜜蜂と花《青》 (ページ35)

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どうしてわかった

痛い素振りは見せていなかったはずなのに

柄｢あんま無理せんほうがええんちゃう？｣

『大丈夫』

大丈夫
大丈夫

私のその言葉に呆れたように溜息をついて

柄｢ま、ええわ
正々堂々勝負やな｣

私の前に拳を作り、それだけ言って流星のところへ行ってしまった

何やら耳打ちをしているようだ

そっか、流星もメンバーだったね

午前の部のリレーで、私はコーナーを曲がった際に足首を捻ったのだ

誰にも気づかれなかったのをいいことに、自分でも痛くないとそう宥めるように言い聞かせた

しかし

やはり先程よりも痛みは増している気がする

レーンに入ってそう感じた

そんな痛みも振り切り

｢三島任せた！｣

ﾊﾟｼｯと、バトンを受け取る

今のところ３組との差は２０メートルほどあったが、やはり柄本は速い

すぐ後ろからｸﾞﾝｸﾞﾝ追い上げてくる

｢行けー！三島！｣

｢Aちゃん！！｣

アンカーは１周

なんとか柄本に抜かされないように頑張って走る

最後のコーナーを曲がったその瞬間

『…っあ』

私の体はそのまま左に倒れ、バトンは手から離れて転がってしまった

痛い

痛い

先程とは打って変わって痛みが激しい

嘘でしょ

起き上がれない

周りはそんな私を見てざわざわとしている

そんな中

藤｢A！｣

遠くで私を呼ぶ声が

こちらへ走ってくる流星

でもね

？｢おい、大丈夫か！？｣

貴方よりも早かった人がいるの

『…痛い』

？｢ほら、乗り｣

そう言って私を背中に乗せる彼

よいしょと言って歩き出す

そして、その様子を見て無表情のまま立ち尽くす流星の横を何も言わずに通り過ぎる

『…ありがとう、大毅』

重｢ええって、気にすんな｣

流星じゃなくてよかったって

どこか安心している自分がいる

だって────

私は、大毅の肩に置いていた手を

そっと、首に回した