蜜蜂と花《青》 (ページ30)

今日:18 hit、昨日:2 hit、合計:282,629 hit

30 ページ30

・

ﾊﾟﾝﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

と、雲一つない青く澄んだ空に３発放たれた音が、体育祭開始の合図を示した

｢よっしゃー！赤組いっちょやりますかっ｣
｢絶対優勝しよーな！｣
｢リレーが大事やで｣

皆やる気に満ち溢れている中

杏｢あーもほんまにはよ帰りたい｣

つまらなさそうな顔をした杏ちゃん
そんな彼女に、私は同感することは出来なかった

だって

『私は楽しむ』

体育祭は、嫌いではないから

杏｢そりゃ運動出来る人は違いますよー｣

嫌味たっぷりのその言い方に、不思議と腹は立たなかった

朝から教室で配られた鉢巻を巻き直す

？｢Aちゃーん！｣

私を呼ぶ声に誰かと振り返ると

『お母さん』

いつもよりもおめかしをして、楽しそうな顔をしているお母さんがこちらにやって来た

杏｢え、Aのお母さん！？｣

杏ちゃんは少し驚いた様子だった
初めて見るから無理もない

母｢あら、貴方が杏ちゃん？｣

杏｢はい！｣

いつもAちゃんからお話聞いとるで～っておばちゃんかましている私の母

母｢それじゃ、頑張ってね！｣

拳をぐっとして、お母さんは保護者席の方へと戻っていった

その背中を見ながら、私は軽く手を振る

杏｢Aのお母さん初めて見たわ～｣

『そうよね』

杏｢なんかさ、似てへんよね
お母さんに｣

『え？』

杏｢あ、Aはお父さん似なんかな！
父親に似る子は美人って言うしね～｣

うんうんと勝手に納得をされてしまったが、まぁいいとしよう

リレーで、お母さんにいい所を見せるんだ

私はやる気に満ち溢れていた