蜜蜂と花《青》 (ページ22)

今日:14 hit、昨日:2 hit、合計:282,625 hit

22 ページ22

────

今日の天気は、晴れ

毎年この日は晴れな気がするな

制服に着替え下に下りていくと、さっそく満面の笑みを浮かべた母と父が私のところへと近づいてきた

母父｢Aちゃん、お誕生日おめでとう｣

その言葉に付け加えて、はいと小包を手渡された

そう、今日は私の１７回目の誕生日だ

『ありがとう！』

開くとそれは、私がずっと欲しいと言っていた腕時計だった

綺麗にキラキラと光り輝くそれを、私はさっそく腕に付けた

母｢うん、やっぱり似合っとる｣

父｢これにしてよかったな｣

・

｢Aちゃん！お誕生日おめでとう！！｣

｢おめでとう三島｣

｢おめでとう｣

学校へ行くと祝福の嵐

教室に入った私を、皆が一斉に取り囲んだ

『ありがとう』

そう、笑顔でお礼を言う

杏｢はいこれ、おめでとう｣

あんちゃんからはスカーフのプレゼント

杏｢似合うかな～思って｣

『ありがとあんちゃん！』

そう言って抱きつく

重｢A、ん｣

頭の後ろをポリポリと掻きながら、小包を手渡す大毅

『ありがとう』

なんだろうな

毎年大毅からは必ずプレゼントを貰っている
だから私も、彼の誕生日には必ずお返しをするし、盛大にお祝いもする

『わっ』

思わず、目を丸くして驚いた

そこに入っていたのは

重｢気に入ってくれた？｣

星の形をした
私がずっと前に大毅と買い物に行った時に眺めていたものだったから

『気に入ったもなにも…』

箱から丁寧に取り出す

『高かったやろ！？これ』

高校生の買い物にしては、少々いいお値段なはず

重｢バイト、頑張ったからな！｣

屈託のない笑顔を私に向け、白い歯をﾆｶｯとして見せてくるから

きゅうって、胸が苦しくなった

『ありがとう、大毅』

｢え！これあのお店のやつやない？！｣

｢重岡くんすごい｣

｢やるな～しげ｣

ｼｭｯと一つ、香りを放ってみる
シトラス系の香りが鼻を掠める

とってもいい香り

『毎日付けるね』

そう、微笑みながら言うと

重｢お、おう！｣

ほんのり頬を赤くして笑う彼

今年の誕生日も

幸せな一日となった

この香水が

甘い甘い"蜜"となることを

私はまだ知らない

その"蜜"が

どの方向へと向かうのかも

知る由もなかった