蜜蜂と花《青》 (ページ19)

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何故、あそこまで彼に固執するのだろう
何故、女達は皆彼に夢中になるのだろう

いや、彼を本気で好きな奴などいるのだろうか
もしかすると皆、彼を美術品のように扱っているだけなのではないだろうか
見る分には無料
それを買えた富豪のみが、彼を本気で好きになってしまう

傍から見ると、まるで女達の方から彼を誘っているように見える

でも本当は、美術品の甘い魅惑に引き寄せられているのだ

どんな手口かはわからない

必ず女達は落ちてしまう

そして

最後は捨てられる

あーあ

またやってるよ

本当に勘弁して欲しいものだ

こんな公共の場で、よく出来るね

今日も勉強を教えて欲しいと言った彼の為にもう１時間近く教室で静かに待っていたのだが、一向にくる気配のない為トイレへと続く廊下を歩いていた時だった

恥ずかしいくらいのリップ音

時折漏れる女の吐息

目を瞑りたくなるようなその光景が目に飛び込んできた

吐き気

もうトイレなどどうでもよくなってしまった

気付かれないように静かに踵を返し、元きた道を戻って教室へと入った

この前といい今日といい

最近よく目にする

一体何なんだろう

暫くして教室のドアがｶﾞﾗｯと開き

藤｢Aごめ～ん｣

呑気な彼が、やって来た

胸元のボタンが、２、３個開いているのにも一切気に止めていないようだ

『藤井くん』

はぁ、と溜息をついて

『公共の場であんなことせえへんほうがええと思う』

言った側から言わなければよかったと後悔してしまった

私のこの言葉に右の口角をｷｭｯと上げ

藤｢なに、さっきの見てたん？｣

妖艶に、そう笑うから