蜜蜂と花《青》 (ページ18)

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私のその言葉に眉間にしわを寄せた彼女

川｢はぁ？｣

『あんた、遊ばれとるだけやない？』

多分彼女は、本気で藤井流星のことが好きなのだろう

だったら、傷付く前にちゃんと気付かせてあげなければ

川｢テキトーなこと言わんとってよ｣

理解力のない彼女に、うんざりしてしまう

川｢ちょっと藤井くんといっしょにおったからって、調子乗ってんの…｣

『もうええわ』

そう吐き捨てて、彼女に背を向けて去ろうとする

これ以上、こんな戯れ言に付き合っている暇はない

が、階段を下りる一歩手前で踏みとどまった

背中に気配を感じたから

だから私はこう言った

『また、中学の時と同じこと繰り返す気？』

振り向くと、そこにはやはり川瀬が私を階段から突き落とそうと両手を伸ばしていた

川｢は、はぁ？何言って…｣

そう言ってスっと手を引っ込めた

一気に距離を縮めて、呟いた

『噂なんてね、すぐに回るんよ』

冷めた目で彼女を見据えて、静かにそう言った

彼女とは中学は同じではなかったが、入学して間もなくしてから噂は回った

"中学ん時に恋敵を階段から突き落として大怪我させたんやって"

そう、こいつは普通じゃない

自分の欲のためならなんでもする
手段を選ばない
そんな女だ

ｷﾞﾘｷﾞﾘと唇を噛み締め、鋭い目付きでこちらを見てくる

そんな彼女にもう一度背を向けて、今度こそその場を去った

去り際に

川｢嘘の塊のくせに…｣

そう聞こえた気がしたが

都合よく、空耳だと思うことにした