完璧で究極の復讐者【推しの子】【名探偵コナン】

05-嘘じゃない ページ10

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アイside


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薄れていく意識の中で浮かんだのは、実の妹であるAの事だった。


Aは、昔から私の事を一番に思って行動していた。良く言えば姉思いで優しい、悪く言えば自己犠牲心が強く自分の事を考えない。どちらも、Aを完璧に表しているように思える。

アイドルになる時も、妊娠を打ち明けた時も、Aは真っ直ぐに私を受け入れて、誰よりも応援してくれた。
今思えば、アイドルや妊娠なんて事務所の支援があったとしても、生活や学業面で苦しいはずなのに。
それでも、私を支えて辛い気持ちを表に出さなかったAはほんとにすごいと思う。


だけど、私はその自己犠牲の危険性について教えられなかった。




「私はお姉ちゃんの意見を尊重するよ」

「この子達は私が全力で守るから!」




十七年間連れ添った大事な唯一無二の妹。
私に似ているようで似ていない容姿も性格も声も、全部全部大好き。


留めていた思いが心の蓋を押しのけて溢れてくる。脳裏に浮かぶ、いつものように太陽みたいな笑顔のA。

嫌だ、死にたくない。Aを置いてけぼりになんかしていけない。だけど、きっとこの願いは叶わない。
私はもうAを守れない。それなら＿＿＿




「アクア、Aの事……よろしくね…」




まだ四歳の子供にこんな事頼むなんてバカげてる。だけど、「アクアならAを守ってくれる」って思っちゃったんだ。

私の胸に顔を押し当てながら頷くアクアを確認した後、意味もなく天井を眺める。


Aの高校の卒業式見たかったなぁ。将来、どんな職業に就くんだろ。結婚…とかもするよね、きっと。花嫁姿のA絶対きれい。

ああ、まだまだやりたい事、見たいものがたくさんある。上げてたらキリがない。


もう二度とAの姿をこの瞳に映せないと思うと胸が張り裂けそうだ。
でも、これからAにはたくさんの出会いがある。
自己犠牲心を止めてくれて、Aの事を1番に考えて、歩幅を合わせながら一緒に前に進んでいく。Aなら、そんな素敵な人と出会える。

それらを見届けられないのは悲しいけど、Aなら大丈夫。




「……愛してるよ、A」




この言葉は絶対嘘じゃない＿＿＿

次の瞬間に思い浮かぶ、全てを失った私を見て泣き崩れるAの姿。それの所為で、少しだけ固めた思いが揺らいでしまったのは、もう誰にも分からない。

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