22-青天白日 ページ41
・
Aside
・
「萩原、そこの缶ジュース取って」
「俺の事パシらないでよ…」
偽りの過去を話してから数週間。彼らの様子を見るに、私の事は一切疑っていないだろう。結構胸糞の悪い話だったのに態度だって全く変えていない。それだけで、彼らがどれだけ優しい人物なのかという想像は容易かった。
そして、私達がこの警察学校を卒業する日まで、残り二週間を切った。二週間後には、私達は警察官として別々の道を進み始めている。なんだか不思議な感覚だ。
冷静に考えれば、私達がこうして巡り会ったのも不思議な事だけど。
出会いは零と松田の殴り合いだったし、それからも月に一度のレベルで事件などに巻き込まれてきた。しかし、その全てに大きな死傷者が出る事はなく、彼らの警察官に対する熱意を感じた。
志望理由は十人十色だけど、「警察官になる」という目標が同じな所為か、どこか彼らには親近感を覚える。
「(…案外、皆上手くやっていけるのかもな)」
「俺の勝ちだ!!」
「いや、今のは僕だ!」
声にする方に目をやると、すっかり日常となってしまった零と松田の争いが始まろうとしていた。慌てて止めに入る景光と班長、そしてあたふたしている萩原にも、もう見慣れてしまったものだ。
「…今度は何で争ってるの」
「なんか、英語の長文を読み終わる速さらしいよ」
止めに入った景光に聞くと、彼は若干呆れ気味に笑いながら答えた。
しかし、その表情は安堵しているようにも見える。多分、私も似た感情を顔に浮かべているだろう。金髪と無駄に真面目な性格の所為で、私達以外に友達と呼べる存在がいなかった零に、あそこまで争える人物ができたのだから。
ていうか、英語の長文で争うってどういう事。
「何でゼロの得意教科で挑んだんだろうね」
「松田って結構アホじゃない?」
「おい星野!聞こえるからな!!」
「あ、ヤバ」
そう言って、松田は私の方に向かって走って来る。どうやって話を逸らそうか考えていると、彼の手に握られている紙が目に入った。それを見て、現状よりヤバい状況に気が付いた。
「……英語の課題、終わってなかった」
「は?」
926人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
あ - 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時