検索窓
今日:54 hit、昨日:292 hit、合計:271,031 hit

ページ36






「最悪…」




翌朝、目が覚めて一番にそう思った。
松田への態度にではない。あまりにも分かりやすいボロを出した自分に対してだ。


バカじゃないの?あんな逆ギレみたいな事したら、余計に深掘りされるに決まってるじゃん。この事を松田が零達に言ったりしたら…。そんな想像をするだけで憂鬱だ。

バレた時の対応を考えてはいるが、それに疑問を持たれないように“きれいに辻褄が合う嘘”を導き出さなければいけないのだ。今回のパターンにぴったりな嘘をつかないと、簡単にバレて後々面倒な事になる。


いっその事、休んで時間が解決してくれるのを待ちたくなる。しかし、こんな事で休む訳にもいかない。私には目的があるのだから。

同じような思考を何度も巡らせながら、様々なパターンと対応を絞り出す。そうして十分経った頃だろうか。ある一つの案が、私の頭にふと浮かんできた。




「(乗り気はしないけど、これが一番デメリット少なそうだしなぁ…)」




ため息をついた後、自分を奮い立たせるように両手で頬を叩く。元はと言えば、ボロを出した私が悪い。責任は自分で取るべきだ。




「…さてと、今日も一日嘘をつき続けないとね」











少しばかりいつもと異なる一日が始まり数時間。時刻は既に日が沈む時間になった。今は図書室で意味もなく談笑している。そんな中でも、松田は昨日の事に関して追求してこない。

考えられる理由は二つ。一つ目は、私が言った「松田には私の事なんか分からない」という言葉を気にしてる。二つ目は、周りに人がたくさんいるから気を遣っている。なんかどっちもそれっぽいけど、松田に限ってそんな繊細な部分があるとは思えない。


ぼーっとしながら、斜め前に座っている松田の姿を眺める。
どうしようかな。時間が経てば経つ程、話を切り出しにくくなりそう。早めに済ませられるならそれが良いけど、いきなり話し始めるのも違和感あるし…。

ふと、松田が私の方に視線を動かし口を開く。




「…何だよ星野」

「別に。何もないけど」




この様子だと、もしかして昨日の事忘れてる?それとも気にしてないだけ?それならそれで良いんだけど。
さっきとは違う可能性を考慮し、再び対応を考え直したとこを見計らったように、松田が昨日と似た声色で言った。




「もしかして、昨日の事話す気になってくれたのか?」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (332 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
926人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
- 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。