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「最悪…」
翌朝、目が覚めて一番にそう思った。
松田への態度にではない。あまりにも分かりやすいボロを出した自分に対してだ。
バカじゃないの?あんな逆ギレみたいな事したら、余計に深掘りされるに決まってるじゃん。この事を松田が零達に言ったりしたら…。そんな想像をするだけで憂鬱だ。
バレた時の対応を考えてはいるが、それに疑問を持たれないように“きれいに辻褄が合う嘘”を導き出さなければいけないのだ。今回のパターンにぴったりな嘘をつかないと、簡単にバレて後々面倒な事になる。
いっその事、休んで時間が解決してくれるのを待ちたくなる。しかし、こんな事で休む訳にもいかない。私には目的があるのだから。
同じような思考を何度も巡らせながら、様々なパターンと対応を絞り出す。そうして十分経った頃だろうか。ある一つの案が、私の頭にふと浮かんできた。
「(乗り気はしないけど、これが一番デメリット少なそうだしなぁ…)」
ため息をついた後、自分を奮い立たせるように両手で頬を叩く。元はと言えば、ボロを出した私が悪い。責任は自分で取るべきだ。
「…さてと、今日も一日嘘をつき続けないとね」
*
*
*
少しばかりいつもと異なる一日が始まり数時間。時刻は既に日が沈む時間になった。今は図書室で意味もなく談笑している。そんな中でも、松田は昨日の事に関して追求してこない。
考えられる理由は二つ。一つ目は、私が言った「松田には私の事なんか分からない」という言葉を気にしてる。二つ目は、周りに人がたくさんいるから気を遣っている。なんかどっちもそれっぽいけど、松田に限ってそんな繊細な部分があるとは思えない。
ぼーっとしながら、斜め前に座っている松田の姿を眺める。
どうしようかな。時間が経てば経つ程、話を切り出しにくくなりそう。早めに済ませられるならそれが良いけど、いきなり話し始めるのも違和感あるし…。
ふと、松田が私の方に視線を動かし口を開く。
「…何だよ星野」
「別に。何もないけど」
この様子だと、もしかして昨日の事忘れてる?それとも気にしてないだけ?それならそれで良いんだけど。
さっきとは違う可能性を考慮し、再び対応を考え直したとこを見計らったように、松田が昨日と似た声色で言った。
「もしかして、昨日の事話す気になってくれたのか?」
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みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
あ - 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時