12-自己韜晦 ページ20
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その数日後。零からの謎の説教に一時間耐えた私は、資料室でパソコンと睨み合っていた。認めたくはないが、どうやら私は機械音痴らしい。
復讐の為の情報収集で私個人のパソコンは使い慣れているものの、警察学校にあるこのパソコンにはどうにも慣れない。難しい、複雑過ぎる。
「何やってるんだ?A」
「景光…」
声のした方向を見ると、そこにはいつもと変わらない様子の景光がいた。
そういえば、景光が何回か資料室を出入りしてるの見た事ある。人に頼るなんて、このパソコンと同じくらい慣れていないが、このままじゃ埒が明かない。
「ちょっと調べたい事があるんだけど、どうやって検索すれば良いか分からないの」
「それなら、ここをクリックすれば…ほら、開けたぞ」
「ほんとだ。ありがと」
素直にお礼を言い作業を進める。B小町、アイ…刺殺。そう検索をかければ、当時のネットニュースや関連動画、さらにはお姉ちゃんの公式アカウントも表示された。
「[今日のドーム楽しみ〜〜]」
五年前のドームが行われる予定だったあの日。そこから、お姉ちゃんのアカウントは起動していなかった。
何で、お姉ちゃんは殺されなきゃならなかったの。アイドルなのに子供をつくったから?愛という名の嘘をつき続けたから?分からない、分からないよ。
「……ちょっと景光。顔色悪いよ、少し休んだら?」
苦虫を噛み潰したような思いでいると、視界に入ったのは同じく痛々しい表情を浮かべた景光だった。
そう声をかけると、景光は慌てたように取り繕い始めた。
「あ、最近よく寝れてなかったからかな。睡眠不足なだけだから大丈夫だよ」
「…なら良いけど」
きっと、景光が調べているのは過去にあった両親が殺された事件だろう。
詳しくは私も知らない。景光に聞くとトラウマがフラッシュバックするだろうし、零に聞いても簡単な事しか教えてもらえず「ヒロが話すまで待っててくれ」の一点張り。
まあ、私もお姉ちゃんの事は二人を含む誰にも言ってないからお互い様だけど。
「Aは何調べてるんだ?」
「大した事じゃないよ」
反射的に一言で返すと、景光は軽く相槌を打って作業に戻った。その姿をしばらく見つめた後、私も画面に視線をずらす。
同情も協力も求めてない。私が求めてるのは、お姉ちゃんを殺した奴の死だけ。
この復讐は誰にも渡さない。絶対、私がやり遂げるんだ。
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みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
あ - 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時