・ ページ19
・
窓に反射する萩原を見て、ほぼ無意識に突き飛ばしていたのは許して欲しい。私も悪いけど、音もなく後ろに立って話しかけてきた萩原も悪い。
「ごめん。ちょっと強過ぎた」
「星野ちゃんって華奢なのに力強いよね…。地味に痛い…」
「……」
「Aってほんと華奢だよね。お姉ちゃん心配だよ〜」
萩原の言葉と、いつしかそう言っていたお姉ちゃんの姿が重なる。お姉ちゃんの方が、ずっとずっと細くて華奢だったのに。いつも私の心配ばっかり。…もっと、自分の事も考えてって言えば良かった。
「おーい星野ちゃん」
「!」
萩原の声ではっと我に返る。
ダメだ、今の私に思い出に浸っている余裕なんてない。一刻も早く、お姉ちゃんを殺した男を死に追いやらないといけないんだから。
「…顔色悪いよ?何かあった?」
「別に。長時間立ちっぱなしだったから疲れただけかも」
「そう?なら良いんだけど」
眉を下げ、私に目線を合わせて話す萩原は、イケメンと言わざるを得ないだろう。チャラくなければ、彼への印象は大きく変わってたと思う。
あの女は萩原のチャラさを知っても尚、好きだと言い続けるのだろうか。だったら理解できない。恋は盲目って言うけど、あの女に関しては多分目ついてない。
「で、何で萩原はここにいるの。もう全員帰寮したかと思ってたんだけど」
「何でじゃないよ。降谷ちゃんが『Aがいない!』って叫びながら俺の部屋に入ってきたんだもん」
萩原は「半強制的に探せって言われた感じ」と続けた。
零は私の親か何か?あと何で私が寮にいない事知ってるの。
「零がごめん。教官に窓拭きの罰受けたからやってたの」
「え?星野ちゃんが罰?何で?」
心底信じられないという表情。私も言われた時そんな顔だったと思う。どう考えても濡れ衣なのだから。
手を動かしながら、罰を受けた経緯…という名の萩原が食堂からいなくなった後の話をした。そういえば、タオル持って来てくれたのに、何も言ってなかったな。
「それ星野ちゃん悪い事してなくない!?」
「そんなの分かってる。だけど、教官は私の事あなた達程知らないらしくて。流れで罰受ける形になったの」
正直、あの女に何か仕返しをする気力も時間もない。
「あんなのに時間を割く方が無駄」と言うと、萩原は納得のしていない様子を見せつつも、窓拭きを手伝ってくれた。…確かに、これはモテるな。
926人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
あ - 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時