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窓に反射する萩原を見て、ほぼ無意識に突き飛ばしていたのは許して欲しい。私も悪いけど、音もなく後ろに立って話しかけてきた萩原も悪い。




「ごめん。ちょっと強過ぎた」

「星野ちゃんって華奢なのに力強いよね…。地味に痛い…」

「……」




「Aってほんと華奢だよね。お姉ちゃん心配だよ〜」




萩原の言葉と、いつしかそう言っていたお姉ちゃんの姿が重なる。お姉ちゃんの方が、ずっとずっと細くて華奢だったのに。いつも私の心配ばっかり。…もっと、自分の事も考えてって言えば良かった。




「おーい星野ちゃん」

「!」




萩原の声ではっと我に返る。
ダメだ、今の私に思い出に浸っている余裕なんてない。一刻も早く、お姉ちゃんを殺した男を死に追いやらないといけないんだから。




「…顔色悪いよ?何かあった?」

「別に。長時間立ちっぱなしだったから疲れただけかも」

「そう?なら良いんだけど」




眉を下げ、私に目線を合わせて話す萩原は、イケメンと言わざるを得ないだろう。チャラくなければ、彼への印象は大きく変わってたと思う。
あの女は萩原のチャラさを知っても尚、好きだと言い続けるのだろうか。だったら理解できない。恋は盲目って言うけど、あの女に関しては多分目ついてない。




「で、何で萩原はここにいるの。もう全員帰寮したかと思ってたんだけど」

「何でじゃないよ。降谷ちゃんが『Aがいない!』って叫びながら俺の部屋に入ってきたんだもん」




萩原は「半強制的に探せって言われた感じ」と続けた。
零は私の親か何か?あと何で私が寮にいない事知ってるの。




「零がごめん。教官に窓拭きの罰受けたからやってたの」

「え?星野ちゃんが罰?何で?」




心底信じられないという表情。私も言われた時そんな顔だったと思う。どう考えても濡れ衣なのだから。

手を動かしながら、罰を受けた経緯…という名の萩原が食堂からいなくなった後の話をした。そういえば、タオル持って来てくれたのに、何も言ってなかったな。




「それ星野ちゃん悪い事してなくない!?」

「そんなの分かってる。だけど、教官は私の事あなた達程知らないらしくて。流れで罰受ける形になったの」




正直、あの女に何か仕返しをする気力も時間もない。
「あんなのに時間を割く方が無駄」と言うと、萩原は納得のしていない様子を見せつつも、窓拭きを手伝ってくれた。…確かに、これはモテるな。

12-自己韜晦→←11-一徹短慮



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みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
- 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時

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