10-暗中飛躍 ページ17
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Aside
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「星野ちゃんはさ、何で警察官になろうと思ったの?」
緑色がよく映える五月の半ば。警察学校に入校して一か月経った頃、いつもの食堂でそう問われた。
松田とのできごとの後、班が同じ萩原と伊達班長とも自然に知り合った。
いくらなんでも増やし過ぎたかと思ったが、きっとほとんどの人とは卒業したら関わりなんかなくなる。このくらい、どうって事ないはず。まあ、関わりが残った場合は情報網として利用すれば良いし。
そう思っていたが、萩原からされたこの質問は予想外。「姉を奪った犯人を殺す為」なんて言ったら、間違いなく私の計画が崩れる。せっかく五年もかけて下準備進めてきたのに台なしになっちゃう。それだけは避けなければ。
「…何でそんな事聞くの?」
上手い理由を作り出す為に、わざとらしい笑みを浮かべながら聞き返す。単純な質問だが、少しは足しになるだろう。
萩原が返答を考えてる間に、私は今までの経験から最適解を導き出す。私の中で答えが見つかったと同時に、萩原が口を開いた。
「いつもクールな星野ちゃんが警察官になろうと思った理由を知りたいからだよ。俺らの仲なんだし、遠慮しなくて良いから教えて!」
「教えるのは良いけど、いやらしい言い方するのやめて。変に勘違いされるでしょ」
萩原モテるから、私への飛び火がヤバいんだよ。ほら、今も後ろで萩原の死角になるところから睨まれてる。別に怖くなんかない。ただ単に対応が面倒なだけだ。
「言っとくけど、皆が期待してるような大した理由じゃないよ」
「夢に対する理由に大きいも小さいもねぇよ」
班長の言葉を流しながら、顎に手を当て、考えているかのようなそぶりを見せる。数秒そうした後、何でもないように言ってみせた。
「別に、零と景光がなりたがってたから興味を持っただけ。過去のできごとがきっかけとか、そんなんじゃない」
実際、始めは復讐の為に警察官になろうなんて考えていなかった。一番に思いついたのは、お姉ちゃんの元恋人がいるであろう芸能界に潜り込み、そこから奴の身元を特定する…っていう、ありふれた考え。
だけど、ふと零と景光が「警察官になりたい」って話してたのを思い出し、復讐を実行する時に有利になりそうだからここに来た。それだけ。
「もしかして、星野ちゃんって意外と流されやすいタイプ?」
「まさか。ちゃんと自分の意志は持ってるよ」
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みさ。(プロフ) - この話最高!!応援してます。これからも頑張ってください! (6月19日 18時) (レス) @page30 id: 952cf5eb01 (このIDを非表示/違反報告)
紅蘭(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください。応援してます! (6月11日 16時) (レス) @page22 id: d17fdc23ae (このIDを非表示/違反報告)
あ - 推しの子と名探偵コナンのクロスオーバー面白いです! 更新頑張ってください!! (6月6日 1時) (レス) @page18 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - 面白いです!更新待ってます!!!! (6月5日 22時) (レス) @page18 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 最近推しの子にハマりました。最高のクロスオーバーですね!更新楽しみにしております!! (5月31日 21時) (レス) @page13 id: e6a1afaa78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りよ | 作成日時:2023年5月28日 13時