44-バラから香った不審感 ページ39
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「あ、宮本」
「Aじゃない。どうしたの？」
零と会ってから数日。
ずっと気になっていたけど聞けずじまいだった事を、交通課所属の宮本由美に聞いてみた。ちなみに佐藤は仕事の関係で不在だ。
「何か月か前に警視庁前に白いバラの花束があったじゃん？あれってどうなったか知ってる？」
「ああ、あれね。落とし主が現れないまま花が枯れちゃったから処分したそうよ。なんだか不憫よね」
てっきり落とし主の元へ帰ったとばかり思っていた為、「もったいないね」と相槌を打った。結構な本数で大きめの物だったのに。プロポーズ用にでも買ったのかな。
「(お姉ちゃんと同期に続いて、白いバラが現れたから『もしかして』って思ってたけど…特に関係はなさそう)」
白いバラなんて花屋でもよく見かけるし、買う人だって大勢いる。神秘的に感じてきれいだから、誰かへのプレゼントとして買っても何も違和感はない。きっと、あそこにあったのはただの偶然だろう。
「でも、プレゼントだとしたらちょっと変なのよ」
「変？何が」
難しい顔をして不思議そうに言う宮本。彼女の横顔を見ながら、反射的にそう聞き返していた。無意識にスーツをギュッと握りしめる。
「白いバラの花言葉を調べてみたらね、“無邪気”とか“純潔”って出てきたの」
「…まさかそれが変だと思ってる理由？相手が天真爛漫な子なんじゃないの」
真剣な顔と声色に似合わない宮本の言葉に思わず呆れてしまう。
別にプレゼントとして渡しても特別違和感のある花言葉ではない。きれいな色だし、バラは花束としてメジャーな気もする。
私には、宮本がそこまでして疑う理由が分からなかった。
「仕事に戻ろっと」とわざとらしく興味のない様を見せつければ、宮本は「まだ話には続きがあるの」と私を引き止めた。
「バラって本数によって花言葉が変わるのよ。あの花束の本数は十七本。この意味、分かる？」
「知らないけど」
「落ち着いて聞いてね」
私の薄いリアクションに慣れたのか、スルーする形で宮本は私に顔を近づけてそう言った。雰囲気を出す為なのか分からないが、無駄に長い沈黙の後宮本は口を開く。
「＿＿＿“絶望的な愛”なの」
「メンヘラじゃん。怖いね」
それだけ言うと、私は宮本に向かって手をひらひらと振りながら歩き始める。「待ってよA！」と言う宮本を適当にあしらいながら、午後の仕事に憂鬱さを募らせるのだった。
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ソーダ愛す - 私の望んでいたクロスオーバーが読めるなんて...！更新楽しみにしてます！！ (12月10日 0時) (
レス) id: 73c730aa71 (このIDを非表示/違反報告)
駐車場 - 本当にすごいですなんでこんなの思いつくんですか天才ですか？なんかもう色々と頑張ってほしいです、更新待ってます！ (10月25日 19時) (レス) @page34 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - うわぁぁぁ！続きが気になるぅ！ (9月4日 21時) (レス) @page26 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
Ama - めっちゃ面白いですー！応援してます。 (8月7日 19時) (レス) @page19 id: 7e4a5b7e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りよ | 作成日時：2023年7月14日 19時
