検索窓
今日:22 hit、昨日:102 hit、合計:260,662 hit

ページ16






翠色の綺麗な瞳で私を見つめる冴ちゃんを目にして、手に冷や汗が出てくるのを感じる。

凛ちゃんの時も動揺はしたけど今程ではない。だって、凛ちゃんがヤンデレ気味なのは知っていたから。でも今は違う。私、冴ちゃんがこんな目をするなんて推しとしても弟としても知らない。見た事ない。




「姉さんは受け入れてくれるよな?」

「……」

「夢を描き変えても俺の理解者であってくれるんだよな?」




さっきみたいに即答はできなかった。でも、答えないと冴ちゃんが壊れてしまう。
私にできるのは、冴ちゃんを否定せずに受け入れて支えるだけ。それしかできないのだから、その役目すら放棄したらだめじゃん。




「…大丈夫。私は応援するよ」

「!」

「あんなに夢見ていた事を変えてしまったんだから、きっと何か理由があるんだよね」




内心は未だに動揺しているのに、何故か言葉は芯が通っていた。自分でも驚く程に。
動揺を落ち着かせる為に、必死に自分に言い聞かせる。大丈夫、私は間違ってなんかない。二人を救済できるのにしなかったんだから、これくらいのメンタルケアはしないと。私は姉として、二人の心の拠り所でいないといけないんだから。




「…そうか」




ようやく口を開いた冴ちゃんは、どこか安心している表情をしていた。それを見て、感情が伝播するように私も安堵した。良かった、とりあえず冴ちゃんを支える事はできたみたい。


それからは、会った時の様子に戻った冴ちゃんと食事をした。
だけど、いつもサッカー以外にほぼ関心がない冴ちゃんが見せた一面がフラッシュバックし、何を食べて二人でどんな事を話したかなんて全く覚えていない。











腹が立ったんだ。姉さんが、駅前で見ず知らずの奴に絡まれているのを見た時。だから、姉さんの死角になるところから静かに牽制した。姉さんは気付いていなかったけど「A」と呼んだのもその為。




「冴ちゃんはほんとにサッカーが上手だね」




双子なのに、俺は姉さんと違って無愛想で、はっきり言って親族からはよく比べられた。なんなら煙たがられた記憶さえある。
だけど、姉さんはそんな俺を「冴ちゃん」と言いながらたくさん褒めてくれた。サッカーでも、日常の面でも。

その時分かったんだ。俺には姉さんだけなんだって。凛とはまた違う、別ジャンルの理解者は姉さんしかいねぇ。

09-影でしてきた努力→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (706 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2088人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Edisa(プロフ) - 続き見たいです! (4月8日 0時) (レス) @page24 id: 7c18e46756 (このIDを非表示/違反報告)
NONAME(プロフ) - ヤンデレ凛ちゃん最高過ぎる!!更新楽しみに待ってます! (12月5日 20時) (レス) @page23 id: 2ae7d2d5c3 (このIDを非表示/違反報告)
まったり団子 - ヤンデレ!いい!私もヤンデレ系書こうと思ってるので参考にさせてもらえると嬉しいです! (12月1日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます(●︎´▽︎`●︎) (7月19日 13時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!!大好きな作品なのでずっと待ってます!!無理しない程度に頑張って下さい! (2023年4月23日 21時) (レス) id: 94c7c88031 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りよ | 作成日時:2023年3月27日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。