08-甘美な午後7時 ページ14
・
日曜日の夜。冴ちゃんと約束した場所に急いで向かう。
急いでいる理由?昼寝していた所為で気付いたら六時前だったんだよ!「約束の時間は七時だから、準備してたら間に合わない!!」と思ったけど、案外間に合いそう。やるな私。
駅前の時計台の下に冴ちゃんらしき人影が見える。
「冴ちゃんごめんね、遅れちゃっ…」
途中で言葉が詰まる。最悪だ、人違いだった…。目の前の男性が、ものすごく不思議そうな顔で私を見てくる。ごめんなさい、私の勘違いです。
「すみません!待ち合わせしていた人と間違えました!」
「……」
めっちゃ怪訝な顔して私の事見ないで…。恥ずかしさでどうにかなりそう。
約束の事もあるから、最後にもう一度だけ謝罪して背を向ける。しかし、歩き出そうとしたところをその男性に引き止められてしまった。引き止められたっていうより、力づくで止められたの方が正しいかもしれない。
「あ、あの…何か?」
「いや、かわいいなって思ってさ」
「は?」
急に頬を赤らめて照れ出す男性。え、なんなのこいつ。その手のナンパはモテないと思うんだけど。
「これからどう?俺とお茶でもしない?」
「いや、今からここで会う約束をしているので…」
「ちょっとくらい良いじゃん」
この場を離れようにも、男性に腕を掴まれていて逃げる事はほぼ不可能。駅前だから人通りは多いけど、面倒事に巻き込まれたくないのか全員横目で見るだけ。
イライラしてきて、突き飛ばしてでも逃げようとした瞬間。
「おい」
「冴ちゃん…!」
タイミング良く冴ちゃんが現れた。良かった、やっとこいつから離れられる!
冴ちゃんは、男性の頭からつま先までじっくり見た後、私に一歩近づいて聞いてきた。
「Aの知り合いか?こいつ」
「いや全然。今さっき会ったばかりの人」
そう答えると、男性は途端に悔しそうな表情をして私から手を離した。え、さっきまであんなに絡んできたのに。何で?
その答えはすぐに分かった。
「彼氏持ちなら最初からそう言えよ!」
「は?」
男性はそう吐き捨てるように言い、人混みの中に消えていった。
彼氏持ち?私生まれてこの方彼氏つくった事ないんだけど?何を勘違いしてるんだあいつは。
疑問に思っていると、冴ちゃんが口を開いた。
「ああいう奴は思い切り突き放さねぇとだめだぞ、姉さん」
…もしかして、あいつ冴ちゃんの事彼氏だと思ったの?
2088人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Edisa(プロフ) - 続き見たいです! (4月8日 0時) (レス) @page24 id: 7c18e46756 (このIDを非表示/違反報告)
NONAME(プロフ) - ヤンデレ凛ちゃん最高過ぎる!!更新楽しみに待ってます! (12月5日 20時) (レス) @page23 id: 2ae7d2d5c3 (このIDを非表示/違反報告)
まったり団子 - ヤンデレ!いい!私もヤンデレ系書こうと思ってるので参考にさせてもらえると嬉しいです! (12月1日 20時) (レス) id: f793216af5 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます(●︎´▽︎`●︎) (7月19日 13時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
マシュ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!!大好きな作品なのでずっと待ってます!!無理しない程度に頑張って下さい! (2023年4月23日 21時) (レス) id: 94c7c88031 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りよ | 作成日時:2023年3月27日 16時