You're living out your fantasy

four ページ47

「入って、いいよ。」
「……うん。」





いつもなら、何とも感じないのに
今日の廊下は一段と長く感じた。


重たい空気が私たちを包み込む。




リビングに着くと、すぐに彼は口を開いた。





「A…話っていうのは…。」
「……聞きたくない。」
「え?」





下を向いているから
彼の顔は見えない。

今は見たくない。





「A、落ち着いて聞いて。」
「聞きたくないってば!!」
「A!!」





強く腕を掴まれる。

振り払おうと腕を振ると




一瞬、何が起きたか分からなかった。




気が付くと、壁に強く押し付けられて
目の前には彼の顔があって。



彼の甘い吐息がふわりとかかる。




鼓動が激しく打ち付けていて。





「…ひょ、く。」
「A、何で聞いてくれないの?」
「だって…私のこと嫌いになったんでしょ。」
「え?」
「最近、すっごく避けてる、私のこと。」





下を向きながらそう言った。


呼吸が苦しくなって
言葉が途切れ途切れになる。





「……A。」





ゆっくりと呼ばれる名前。

おそるおそる前を向いてみると
彼は真剣な目で。



そして、手を離して。





「俺、確かに最近Aのこと避けてた。」





やっぱり。

胸がズキズキ痛い。





「それは…口を開いたらすぐに言いそうになるから。」





やめて。

これ以上言わないで。





「もうやめ…っ!!」





そう言い掛けた唇は彼によって塞がれた。


触れた部分が熱くて
甘く溶けてしまいそうな。そんな。



ソレは軽いリップ音を残して離れて。





「…俺、普通の男じゃないし
これから、もっと忙しくなると思う。


でも、俺なりにAとこれからもずっと
一緒に入れる方法頑張って考えたんだ。





一生大切にするから。
ずっと笑顔でいさせるから。



俺と、結婚してください。」





そう言った彼の顔は真っ赤で。

差し出した手が震えていて。





「……ばか。ひょくのばか。」
「……ダメ?」
「ダメなわけないでしょ…ッ。」





涙が溢れた。

こんなことで悩んでいた自分が
なんだか馬鹿らしく思えて。



でも、それ以上に嬉しさが勝って。





ただ、繋がれた手が。

ひどく温かくて愛おしかった。






‐ END ‐




『Marry me』

第15扉　*Yesung*→←three

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