３ ｜誤差 ページ4
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翌朝、私は考えていた。
"本編"の意味は判明したけれど、ひとつ分からないことがあるのだ。
「……どこまでが"誤差"で、どこからが"バグ"になるか。だよなぁ」
そう、一体どこまでの"原作改変"が許されるのか。
私が主人公ら2人を助けてしまえば、少しとは言えど話が原作と変わってしまう筈なのに大丈夫だった。はてさてこれは一体どういうことなのか。
考えられる可能性は、私が加えた改変はバグとして認識されないというのが一つ。
もう一つの可能性は、今回は話の流れを結果的に乱さなかったから、誤差と認識されてセーフという判定になったというもの。
ああ、これは前者か後者かで話がだいぶ変わってくるな。考えれば考えるほど複雑になっていく話に気分が沈む。そう思っていれば、隣から声がした。
「A、さっきからぶつぶつ言ってどうしたの？」
「春が来たんでしょ、もう中3だし」
「それは姉ちゃんだろ」
「はぁあん？別れたわ昨日」
「うっそ3日しか持たなかったの」
忘れていたが、今は朝食の時間だったな。
ぶつくさ言っていた私を心配する母に、揶揄う姉。そしてそれに突っ込む兄がいる。賑やかな食卓だ。
「あーごめん、ちょっと個性のことで考え事してて」
私がそう言うと、途端に周りは静かになった。家族だから私のミッションのことは当然みんな知っているのだ。
「……Aさ、学校での成績良いし、雄英の模試もA判定だっただろ」
「そうそう、入学は楽勝でしょ！大丈夫、なんたって姉ちゃんの妹なんだから！」
「うん、ありがとう」
考えてたのはそういうのじゃないんだけど、まあいいや。私は再び箸を進め始めた。
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作成日時：2023年3月17日 21時
