私の個性は超体超力！！！７【緑谷出久】

裏方 ページ45

緑谷さん・・・遅いなあ・・・。


今はもう本番10分前。


何度も電話をしたけど出ないし・・・。


お客さんもどんどん入ってきてる。


私はスポットライトを両手でギュッと握りしめた。


・・・まさかこのまま来ないなんてないよね？


「筋金ー！」


緑谷さんのことを心配しているとしたから大声で私の名前を叫ぶ人たちがいた。


私が目を向けると大きな手を振って質問を投げかけてきた。


「筋金さんってー！裏方役なんですかー？」


その質問に私は小さく片手で手を振り返しながら答えた。


A「はい。そうですけど？」


私がそう答えると周囲が少しざわついた。


「えー。てっきり舞台出るのかと思ってたー」
「裏方って意外だなー」
「そういえば轟君も裏方らしいよ」
「え！？そうなの！？見たかったー」


え？


私や轟さんが裏方じゃいけなかったのかな？


私がそんなことを考えていると、さっきよりも大声で叫ぶ声が聞こえた。


鉄哲「筋金さァァん！！」


聞き覚えのある声。


鉄哲さんだ。


鉄哲さんは制服ではなく舞台で立つ衣装のようなものを着ている。


A「おはようございます。鉄哲さん」


鉄哲「ッス！筋金さん、裏方って聞きましたけど頑張ってください！応援してるッス！！」


A「ありがとうございます。鉄哲さんも演技の方頑張ってください。衣装とてもよく似合っています」


私がそう言うと鉄哲さんは頰を赤らめて言った。


鉄哲「そ、そうッスか？照れるッスね・・・」


そう言った鉄哲さんが何だか可愛くて、私はクスッと笑ってしまった。


鉄哲「筋金さん。何が面白いんッスか？」


キョトンとしている鉄哲さんを見て更にクスクス笑ってしまう。


A「ふふふ！す、すみません！鉄哲・・・ふふ！さん！」


私は口を手で押さえながら言った。


鉄哲さんはまだキョトンといった顔をしていたけど、私は最後にこう言った。


A「まぁ。今日はお互い頑張りましょうね！」


私が微笑んで言うと鉄哲さんは、 目を少し見開いたまま頰を少し赤く染めていた。


そして遂に緑谷さんが来ないまま開演時間が来てしまった。


幕が上がり観客が沸き立つ。


「どんなもんだあ！？1年ー！」
「ヤオヨロズー！！ヤオヨロズー！！」


よし・・・。


緑谷さんはいないけど、本番だ！

大成功！→←両想い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す