優しげな雰囲気 ページ26
「ーーーA」
「坂田さん…」
沖田さんが連絡を入れてくれて少し
白い息を吐き出しながら肩を上下させる
坂田さんが現れた。ズカズカと大股で私の前に
歩み寄り、「はぁー、」と大きく息をついた。
「ったく…何してやがったんだノロマ」
「あだっ…すみません」
冷えたおでこにデコピンを食らう。
その痛さが、今はじんわりと心にしみた。
「もしかしてずっと捜してくれてたんですか」
「あ?あー、…い、いや…んなわけねーじゃん
さっきまで普通にTV見てたし。
結野アナの毛穴まで見てたし?」
「でも…息切れてますよね」
「違うって、これはあれだ。結野アナに
興奮してだな……」
「………そうですか」
「引くなよ」
わかってる。言わなくても。
寒空の下、私を捜す彼の銀髪が、風になびく
サマが目に浮かぶ。
「心配おかけしました。
ありがとうございました」
そっぽをむいて、おう、と返してきた。
金や欲望には意地汚いけれど、素敵な人だ。
私も笑いかけたとき、ーー後ろから砂利を
踏む音が聞こえ、一筋の紫煙が視界を遮った。
「ーーったくよ、テメェんとこのもんだろ。
しっかり守ってろ」
「…うっせーよ。大人はな、ときには子供に
旅させなきゃなんねーんだよ」
「どんな旅だ」
「坂田さん、私もう20歳です」
土方さんは、私を一瞥し、「怪我は」と。
笑って首を振れば、納得したように目を閉じた
……まあとりあえず、今回言えることは
私の不注意が招いた事件だということ
そのせいでいろんな方面に迷惑を
かけてしまった
「真選組の皆さんにも、ご迷惑を
おかけしました…」
「…仕事だからな。つーか、被害者はテメェ
だけじゃねーだろ。迷惑もくそもねーよ」
私に気を使っていってくれた言葉だろうか。
優しげな雰囲気に包まれたそれに
ーーー私の胸は、不思議な高鳴りを示す
沖田さんに呼ばれた彼は、そのまま踵を返し
行ってしまった。後ろ姿を見送る間、私の中で
その高鳴りが止まないことを、自覚した。
しばらく漂っていたそのタバコの香も薄れて。
.
「………さ、帰ェるぞ」
この坂田さんの一言で、ふっと我に返り、
私の足も帰路につくこととなった。
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シュシュ(プロフ) - ライラックさん» ありがとうございます!精一杯がんばります! (2014年12月27日 19時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - ライラックさん» そうなんですか!?…あ、もしかしたら私もかもっ…。でもとりあえずおめでとうごさいます!ということで。笑 (2014年12月27日 9時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)
ライラック(プロフ) - この小説面白いです!!更新頑張ってください! (2014年12月27日 9時) (レス) id: 15e1b5e5df (このIDを非表示/違反報告)
ライラック(プロフ) - 銀魂アニメ再開嬉しいです!!私の地域で見れないけど多分… (2014年12月27日 9時) (レス) id: 15e1b5e5df (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - 恋狂さん» 私も母にビックニュース!!って叫びながら報告しました!笑 スポンサーについてくださった勇気のある人たちに感謝です (2014年12月26日 15時) (レス) id: 3d9f014fa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年12月16日 22時